令和2年度第3次補正予算案及び令和3年度当初予算案の概要
令和3年度当初予算案が、12月21日にて閣議決定されました。
この令和3年度予算のポイントとして、令和2年度第3次補正予算案と合わせて、コロナウイルス感染症の拡大防止に目を向けつつ、中長期的な課題(デジタル化社会・グリーン社会・地方活性化・少子化対策・全世代社会保障制度など)に対する予算案が主となっています。
経済産業省は、当予算案における資料にて【令和2年度第3次補正予算案及び令和3年度当初予算案(地域・中小企業・小規模事業者関係)】を編成しています。
以下は、令和2年12月21日、令和3年度予算案等が閣議決定した経済産業省関連資料を基に記載しています。
ここでは、この
【令和2年度第3次補正予算案及び令和3年度当初予算案(地域・中小企業・小規模事業者関係)】
の概要を見ていきます。
目次
予算案のポイント・課題及び対応
経済産業省における予算案のポイントとして、令和2年度第3次補正予算案(以下R2三次補正)と当初予算案(以下R3当初)を合わせて15ヶ月予算として、経済産業政策を推進していくこととなります。
中小企業対策費として、2兆 2,834億円(R2三次補正)+1,117億円(R3当初)です。これら対策費は前年度(R1補正含む)と比べて、大幅に増加しています。
出典:経済産業省 令和3年度 地域・中小企業・小規模事業者関係予算案等のポイント PDF資料より
基本的な課題認識と対応の方向性
現在の基本的な課題として、コロナウイルス感染症の影響により中小企業などは大きな打撃を受けており、事業継続や経営転換等を支援、そして事業承継や生産性向上といった構造的問題に対応することも喫緊の課題として挙げられます。
これらの対応として、
「事業継続や事業再構築の後押し」
「事業承継・引継ぎ・再生等の支援」
「生産性向上による成長促進」
に取り組み、コロナ危機の克服及び危機を契機とした構造転換による低成長からの脱却を図ることを目指します。
また、
「経営の下支え、事業環境の整備」
「災害からの復旧・復興、強靱化」
にも粘り強く取り組む方針です。
これらが、当予算案におけるポイント・課題認識と対応の方向性となっています。
「事業継続や事業再構築の後押し」
当課題の対応として、以下の通りとなっています。
- 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編⼜はこれらを通じた規模拡大等の事業再構築に取り組む中小企業等を支援する補助金を新設。
- 民間実質無利子融資を年度末まで延長するとともに、中小企業等の経営改善等の取組を支援するための信用保証制度や日本公庫等の融資制度を創設・拡充する。
当対応にて、主だった措置として以下のような支援措置があります。■※R2三次補正 ◆※R3当初
■○中小企業等事業再構築促進事業【1兆1,485億円<R2三次補正>】
・事業再構築補助金を創設し、事業再構築に挑戦する中小企業(中堅企業)に対して最大6,000万円(8,000万円)を補助。中堅企業への成長を目指す中小企業やグローバル展開を目指す中堅企業に対しては、上限を1億円に引き上げ成長を強力に支援。
■○中小企業等の資金繰り支援【8,391億円<R2三次補正>】
・民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資を令和3年3月まで延長。また、中小企業の経営改善等を支援するために新設する信用保証制度や事業再生を支援する信用保証制度の保証料を大幅に軽減するとともに、日本公庫による業態転換等の設備投資や事業再生等の融資制度について、適用金利を引き下げる。
第三次補正予算による措置が主となっています。
中小企業等事業再構築促進事業につきましては、以下記事にて詳しく紹介しています。
「事業承継・引継ぎ・再生等の支援」
当課題の対応として、以下の通りとなっています。
- 経営者の高齢化が進む中、事業承継は喫緊の課題。事業承継・引継ぎを総合的に支援する体制を整備し、プッシュ型の支援に転換。
- 事業承継・引継ぎを契機とした経営革新に挑戦する中小企業を後押しするため、事業承継・引継ぎ補助金を措置し、承継等を機縁とした成長促進を強力に支援。
- コロナ危機により中小企業再生支援協議会に対する相談が急増、中小企業等の再生計画策定の要望に十分に応じられるよう体制を拡充する。
当対応にて、主だった措置として以下のような支援措置があります。■※R2三次補正 ◆※R3当初
■◆○事業承継総合支援事業【95.0億円(75.1億円)の内数/56.6億円の内数<R2三次補正>】
・ 事業引継ぎ支援センターを「事業承継・引継ぎ支援センター」へ発展的に改組し、事業承継に関する総合的な支援を実施。
■◆○事業承継・世代交代集中支援事業【16.2億円(新規)/56.6億円の内数<R2三次補正>】
・M&A時の専門家活用費用や事業承継・事業引継ぎを契機とした設備投資等を補助する事業承継・引継ぎ補助金を措置。
○中小企業の経営資源集約化に関する税制【新設】
・M&A後のリスクに備える準備金、設備投資減税、雇用確保を促す税制措置の3つの措置を一体で講じ、経営資源の集約化を推進。
■◆○中小企業再生支援事業【95.0億円(75.1億円)の内数/30.0億円<R2三次補正>】
・中小企業再生支援協議会によるコロナ危機の影響を受けた中小企業等の再生計画の策定支援等。
主にR3及びR2三次補正にて構成されています。
新設として、中小企業の経営資源集約化に関する税制 という措置が計画されています。
「生産性向上による成長促進」
当課題の対応として、以下の通りとなっています。
- 中小企業等が感染拡大を抑えながらポストコロナに対応したビジネスモデルへの転換等を実現し、生産性向上を図るための支援を継続的に実施する。
- 研究開発等を支援し、技術力に秀でた中小企業のビジネス展開を促進するとともに、今後の海外展開で重要となる越境EC等を活用し、時代に応じた海外進出を支援。
- デジタルを活用した地域企業・産業の競争力強化と、若者を中心とした人材の地方移動支援等を実施。
- 政府の中小企業向け支援サイトであるミラサポplusの拡充等も実施。
当対応にて、主だった措置として以下のような支援措置があります。■※R2三次補正 ◆※R3当初
■○中小企業生産性革命推進事業【2,300億円<R2三次補正>】※R1補正でも3,600億円を措置。
・設備投資、販路開拓、ITの導入を補助するなど、中小企業の生産性向上に資する継続的な支援を実施。
◆○戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(サポイン事業)【109.0億円(131.2億円)】
・ものづくり基盤技術に関する研究開発支援(3年間最大9,750万円)。
◆○JAPANブランド育成支援等事業【8.0億円(10.0億円)】
・中小企業による越境ECやクラウドファンディングを活用した海外展開や、コロナ危機を契機とした新事業展開を図る取組を支援。
◆○地域未来デジタル・人材投資促進事業【11.7億円(新規)】
・地域未来牽引企業等を中心とした地域経済を牽引する企業のデジタル化を支援し、地域における高生産性・高付加価値企業の強化・創出を行うとともに、若者人材の地域企業への移動を支援。
R3当初にて支援措置が中心となっています。より詳しい情報が待たれます。
「経営の下支え、事業環境の整備」
主だった措置として以下のような支援措置があります。■※R2三次補正 ◆※R3当初
■◆○中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援【40.9億円(42.4億円)/9.8億円<R2三次補正>】
◆○小規模事業者対策推進等事業【53.2億円(59.2億円)】
■○GoTo商店街事業【30.0億円<R2三次補正>】
◆○地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業【5.5億円(新規)】
◆○中小企業取引対策事業【9.8億円(9.8億円)】
「災害からの復旧・復興、強靱化」
主だった措置として以下のような支援措置があります。■※R2三次補正 ◆※R3当初
予■○なりわい再建支援事業【275.7億円<R2予備費>/30.0億円<R2三次補正>】
■○なりわい再建資金利子補給事業【0.5億円<R2三次補正>】
予■○被災小規模事業者再建事業【113.5億円<R2予備費>/11.4億円<R2三次補正>】
◆○中小企業強靱化対策事業【中小機構運営費交付金177.3億円(175.5億円)の内数】
・中小企業の自然災害等への事前対策を促進するため、「強靱化支援人材」を機構の地域本部に配置し、相談体制を整備。
まとめ
令和3年度予算自体が第三次補正予算案と合わせる中長期的な編成で、この中小企業対策も15ヶ月予算ということで全体的に対策費が増加していますが、コロナウイルスによって受けている影響への政策は急務です。
特に、新規分野展開や事業転換対応が求められる中小企業においては、
「事業継続や事業再構築の後押し」
「事業承継・引継ぎ・再生等の支援」
「生産性向上による成長促進」
あたりが、重要であると考えられます。
先ずは1月中の成立を目指す令和2年度第三次補正予算案に注目です。弊社も情報収集を行ない企業様のご支援をしてまいりますので、お気軽にお問合せください。