社員の生産性を上げるためのOKRを知る
最近OKRってよく耳にするけど、どういう手法?社員に目標意識をもって行動してほしいと思っているけど、どうやったら良いのか知りたい!
こんな悩みを解決します。
本記事の内容
・そもそもOKRとは?
・経営者と社員の間には意識のギャップがあり、この意識ギャップの改善方法を知る
・OKRは、本気で継続すれば必ず成果がでる(OKRの手順を知る)
・OKRの過程で社員が成長していく理由(社員満足もあがる)
本記事の信頼性
・携帯電話販売店の責任者として、赤字続きだった携帯ショップを1年で黒字化した
・携帯電話販売代理店15店の運営支援を行なった
・介護事業者の運営支援で赤字事業者を1年で単年度黒字化を達成した
実際にお手伝いした介護事業者様は、開所以来赤字が続き、働く職員もそれが当たり前になっていて、改善意欲が乏しい職場になっていました。特に管理者は自分達の責任を果たそうとしない状態にまで陥っていて、職場で互いに悪口を言い合い優秀な職員がどんどん辞めていく状態です。そんな介護事業所の経営改善のお手伝いして1年後には見事単年度で黒字化できるまで改善できたOKRという手法について解説します。
経営者と社員の意識のギャップの本質を理解して、社員がワクワクするような目標を立てて日々OKRを実践していけば必ず成果につながります。経営者やリーダーが本気になって継続するだけで組織は変わります。
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目次
そもそもOKRって何?
OKRとはObjective Key Resultの略で組織における目標達成までの道筋を決めアクションしていくためのマネジメント手法です。半導体企業インテルやグーグルなど大手企業が導入し成果を出したことで日本でも注目され導入されるようになりました。
OKRの特徴は、3ヵ月間のスパンで計画を立て実行していくことです。そして3ヵ月間の成果を振返り、問題点を修正して次ぎの3ヵ月間の計画を立て実行するため、PDCAの回転が速く業績に繋がりやすいことです。
また、OKRでは目標(Objective)は売上や利益といった数字目標ではなく、自分達が「なりたい姿」を描き、参加する社員がワクワクするような、働く皆が幸せになれるような目標を設定します。次に掲げた目標(Objective)を達成するために重要な成果指標(Key Result)を決めます。目標(Objective)が数字ではなく社員や組織全体がなりたい姿であったのに対して、成果指標(Key result)は具体的な目標数字を決めます。しかも成果指標(KR)に設定する数値は達成できる確率50%ぐらいになるような高い目標値を設定することがポイントです。その理由は、最初から手が届きそうな目標値にすると現状のやり方の延長線でしか考えないようになり、思考が広がりません。普通にやったら達成が困難である高い目標値にすることで、社員から既成の枠に囚われないアイデアが出てきたり、自分達の工夫の余地が広がったりします。これが社員の意識改革や成長やチームワークに繋がっていきます。
経営者と社員の間には意識のギャップがあり、この意識ギャップの解消方法
OKRを始める前に経営者と社員のギャップを埋めることが肝心です。このギャップを解消しないまま始めても空回りしたり、社員の士気が下がったりすることがあります。最初の理解として、経営者の方と社員とでは見ている視点は全く違います。経営者の多くの方は当然この違い気がついていますが、その違いを改善しようとしないことが問題になっています。では、経営者の視点は何かというと、会社の売上や利益がどのくらい出ているかです。ですから社員には利益を出すように働いてほしい、自分で考えて能動的に動いて成果を出してほしいという視点に注目しています。次に社員の視点です。社員は経営者や上司からの指示に従って動くため、基本的には受け身の姿勢です。ですから自分に与えられた仕事を淡々とこなすことに集中しがちになります。目の前の仕事を自分にとって最適化しようと考えます。それは、全体の成果に繋がっているか否かに関係なく、自分の範囲内の仕事をこなすという視点です。
この経営者の視点と社員の視点の違いが悪ではなく、立場が違えば視点も違ってくることは当然です。問題はこの視点のギャップを理解して解消していく努力を怠らないことです。
視点のギャップを解消するためにやること
経営者と社員の視点のギャップを解消するためには、社員の仕事はそもそも何を目的としているのかという根本的な部分から理解してもらうことが必要です。視点の違いを解消するには、互いの共通の目的が必要になります。それがビジョンです。まずビジョンを明らかにして、そのビジョンに共感してもらうことが解消の第一歩です。ビジョンが社員から共感されなければ経営者自体が社員から尊敬されることはありません。そうなれば経営者と社員のギャップは解消されることなく、生産性も改善されません。
本気で愚直に継続すれば必ず成果がでる(OKRの手順を知る)
OKRは継続すれば必ず成果に繋がります。その理由は、目標と成果指標とタスクが強く結びついているため、適正にマネジメントしていけば必ず目標に近づきます。しかし中途半端にやると成果につながらないこともあります。大切なことは経営者が本気になり社員を巻き込むことと、途中で諦めない強い信念を持ち続けることです。途中で挫折しそうになった時はビジョンに立ち返り、「なぜOKRをやっているのか?」、「やった先にはどうなるか?」という原点に立ち返ることで必ず継続でき、成果に繋がります。また、その成果が社員に成功体験と自信を与え、社員を成長させてくれます。
《OKRの手順》
1.リーダーとメンバーを決める。
2.目的(Objective)を決める
3.成果指標(Key Result)を決める
4.守り指標を決める
5.1週間のタスクを決める
6.1週間後に先週の振返りと今週のタスクを決める
7. 繰り返し
OKRは同じ業務を行なう小集団の単位で行ないます(5人~6名)。
チームが出来たら、チームの目的(Objective)を決めます。目的は数値ではなくチームメンバーが、何のためにOKRをやるのか?という根本的な目的を決めることです。これから行なうOKRはチームメンバーが自ら計画を決め、行動していくことが重要なポイントです。自分が行動した結果が自分達にメリットがないと人間は本気で取り組めませんし、長続きしません。そのため目的(Objective)はチームメンバーの共通言語として機能しなければなりません。
目的(O)を決めたらその目的を達成するために必要な成果指標(Key Result)を掲げます。成果指標(KR)は数値化することがポイントです。項目数はあまり多くせず、真に目的を達成するために必要だと思う指標1~2個設定します。3ヵ月間という短いスパンですので、メンバーの力や集中力が分散しないように一点に集中して取り組めることが重要です。成果指標は大きくストレッチした数値を設定することをお勧めします。達成確率50%位の難易度の高い目標数値が望ましいです。そうすることで今までにやったことのないアイデアや色んなメンバーが枠に囚われない発想で意見を出し合っていくことがチャレンジ意欲を生み出します。これもOKRの魅力の一つです。
成果指標(KR)を決めたら、守りの指標を決めます。守りの指標とは、会社が健全に継続していくために守らないといけない指標です。成果指標を達成するめに何をやっても良いというわけには行きません。例えば販売数を達成してもお客様満足度が下がっては本末転倒です。社員が体調を壊すまで過酷な仕事であっても本末転倒です。ですから、「攻め」の成果指標(KR)に対して、「守り」の指標を明確にしておくことで、会社経営が健全に運営できるようになります。
ここまでが、OKRを始めて最初に決めておくものになります。
ここからは1週間ごとに実施していく内容です。
成果指標(KR)を達成するためのタスク(作業)を決めます。1週間ごとに振り返るため、タスクは1週間で確実に実行できるタスクに小分けします。大きなタスクの場合は1週間で完結できる単位まで小分けすることがポイントです。また、タスクの量は、多くても5個程度にして確実にやりきることを徹底していきます。
決めたタスクの実施状況は1週間後のOKRミーティング時に振返ります。振り返る際は、決めたタスクが完了しているか否かを確認し、完了していないタスクがあれば、なぜ完了しなかったのか理由を必ず明らかにして、未完了タスクを排除するよう意識付けしてください。特に「忙しいからタスクが出来なかった」という言い訳は必ず排除しないと、OKRは成果につながりません。
OKRミーティングでは、実行したタスクによって成果指標(key Result)の達成確率が上がっているのか、下がっているのかを確認し進捗を見ていきます。最初は達成確率50%程度からスタートして、タスクを実行する度に達成確率がどのように変化しているかを見ていきます。仮にすぐに達成確率が100%近くになるようであれば、最初の目標が低すぎたことになりますので、途中であっても目標をさらにストレッチさせます。反対に達成確率が30%に下がった場合は難易度が高すぎたか、タスクの精度が低いことになりますので、チームで確認する必要があります。
OKRでは、毎週のOKRミーティング開催が成否を分けるため必ず開催できるように曜日と時間を固定することをお勧めします。
OKRの過程で社員が成長していく理由
OKRの良いところは、目的(Objective)と目的を達成するための成果指標(Key Result)を常に意識して行動するため、目標達成意識が醸成されることです。1週間ごとに開催するOKRミーティングでタスクの実行状況を振り返るため、PDCAサイクルが早く、成功体験や失敗体験を多く積む事が出来ることも会社業績への寄与と社員の成長につながります。
また、OKRはチームで一つの目標にむかって進んでいくため、役割分担が不可欠になります。役割分担は適材適所で行なっていくため、社員満足度が向上します。OKRには成果指標と守りの指標があるため、チームメンバーが互いに得意分野を出し合うことでチームとして機能します。この結果チームメンバーが他のメンバーをリスペクトするようになり、社員士気が上がります。
まとめ
社員の生産性向上に役立つOKRについていかがだったでしょうか?最初から完璧には出来ません。失敗繰り返しながらでも実践していくことで、社員の成長および会社業績の向上につながります。是非、社員の生産性改善で悩んでらっしゃる方は取り組んでみてはいかがでしょうか。