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元ドジャースの名将トミー・ラソーダ氏にみるチームの全体最適

ドジャースの元監督トミー・ラソーダ氏が死去したというニュースが18日に流れました。

米大リーグ、ドジャースの監督を約20年にわたって務め、野茂英雄投手の成功を助けたことでも知られるトミー・ラソーダさん(米国)が7日、死去した。93歳だった。引用元 時事通信社

 

ラソーダ元監督といえば1995年に当時の近鉄バッファローズの野茂英雄選手がメジャーへ挑戦する際のドジャースの監督として日本でも有名です。私はメジャー野球にあまり詳しくない人間ですが、それでも当時はよく名前を耳にしたものです。トルネード旋風で連日メジャーのニュースが流れていて興奮しながらみていたことを記憶しています。この度訃報に際して、野茂英雄氏が「すごくショックです。感謝しても感謝しきれない方です」とコメントしているほど野茂氏にとって影響が大きかったことがわかります。

そんなラソーダ監督ですが、有名なセリフとして「背中の名前(=個人)のためにプレーするのではなく、胸の名前(=チーム)のためにプレーしろ」が印象的に残っています。私も経営者の一人として非常に胸に刺さる言葉です。

メジャーリーガーのように個性的でアメリカンドリームを夢見る選手が多いなか、「背中の名前のためではなく、胸の名前のためにプレーしろ」ということを選手に植え付けることが非常に難しかったと思います。反発する選手もいたと思います。ラソーダ氏の情熱やカリスマ性、ユーモアがあったからこそ選手に植え付けることが出来たのでしょうね。これぞまさにリーダーシップだと感銘を受けました。

本ブログではこの「背中の名前(=個人)のためにプレーするのではなく、胸の名前(=チーム)のためにプレーしろ」という言葉について考えてみます。

組織経営の中では、部分最適ではなく全体最適で考えろという言葉は一般的ではありますが、なぜ、部分最適ではダメなのでしょうか?実際の組織でもと部分最適な思考に陥っていることは多いと思います。部分最適の代表例で言うと営業のように個人の成績で評価されるような組織が上げられます。営業部門では社員一人一人に目標があり、個人の成績の合計が組織目標になるように設計されています。そのため、社員一人一人に目標達成が求められます。それでも全員が目標達成するかと言うと、そうではなく目標達成する社員もいれば、未達成に終わる社員もいます。しかも、目標を達成する社員と未達成の社員が固定されることもしばしばです。良い成績を残した社員は評価され、さらにモチベーションが高まり、成績が低い社員はモチベーションが下がり、やる気を失うことで固定化されます。

 もう一つの問題が、良い成績を残す社員にも問題が発生します。それは、成果を出せば何をやっても許されると勘違いして傲慢になる事があります。この状態は個別最適に陥っている組織でよく見かける光景です。上司も遠慮して物が言えず、同僚は「なんで?」と不満を持つ、こんな組織では協力意識は醸成されません。

全体最適になるためには、上記のような個別最適を放置していてはいけません。野球で言えば、エースや4番など一部のスター選手の独善的な考え方や独りよがりは、周りの選手のモチベーションを下げ、チーム全体の生産性を下げます。野球や仕事は一人では出来ませんし、みんなの協力があって出来ることです。チームの勝利のためには一部のスター選手は要りません。というか、本来は選手一人一人が自分の強い部分(得意分野)を出し合って役割分担しているため、チームのスター選手は全員でなければなりません


 これがまさに、ラソーダ監督の「背中の名前ではなく、胸の名前のためにプレーしろ」です。経営に通じるお言葉です。

全体最適イメージ図