【事業再構築補助金】事業再構築指針の公開
withコロナ、afterコロナ時代にむけて、中小企業・中堅企業など事業者の思い切った改革を支援する事業再構築補助金。この度3月17日に事業再構築の定義となる、
「事業再構築指針」が公開されました。
2月15日に発表された概要資料から、さらに詳細な事業再構築指針が公表されました。自社の事業が指針に該当するか否かしっかり確認する必要があります。
では早速、事業再構築の中身を見ていきましょう。
目次
事業再構築指針について
事業再構築指針について
事業再構築補助金の支援の対象を明確にするため、「事業再構築」の定義等について、明らかにしたものです。
事業再構築とは
- 新分野展開
- 事業転換
- 業種転換
- 業態転換
- 事業再編
これら5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。
卒業枠・グローバルV字回復枠の定義・要件
事業再構築の他に、この指針では
- 中小企業卒業枠
- 中堅企業グローバルV字回復枠
以上の要件も定めています。この2つ枠は補助金額では記載されていましたが、この指針にて要件の定義がなされることとなりました。
以上のことを踏まえ、事業再構築指針とは以下の図のような形となります。
事業再構築の類型による要件
まずはじめに、事業再構築の類型による必要な要件のまとめをお見せします。以上が類型と要件となります。
この要件にある
①製品等の新規性要件
は、「新分野展開」・「事業転換」・「業種転換」・「業態転換」(一部条件時のみ)
②市場の新規性要件
は、「新分野展開」・「事業転換」・「業種転換」
に含まれており、これらは同義の要件です。こちらにつきましては、以下の定義が定められています。
※同定義のため、予め記載します。類型ごとに異なる要件につきましては、それぞれの項目にて記載してあります。
製品等の新規性要件
製品等の新規性要件を満たすためには、
①過去に製造等した実績がないこと
②主要な設備を変更すること
③競合他社の多くがすでに製造等している製品等ではないこと
④定量的に製品又は効能が異なること(計測できる場合)
の4つを満たす(=事業計画において示す)必要があります。
製造等の新規性を満たすためには
製造等の新規性を満たさない場合
市場の新規性要件
市場の新規性要件を満たすためには、
①既存製品等のと新製品等の代替性が低いことを事業計画において示す必要があります。また加えて
②既存製品等と新製品等の顧客層が異なる事業計画を示す(※)場合には、審査においてより高い評価を受けることができる場合があります。
※②は任意要件となります。
市場の新規性要件を満たすためには
市場の新規性要件を満たさない場合
以上が、製造等の新規性要件、市場の新規性要件となります。
新分野展開について -定義-
- 「新分野展開」とは主たる業種または主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。
- 「新分野展開」に該当するためには、「製品等の新規性要件」・「市場の新規性要件」・「売上高10%」の3つを満たす(=事業計画において示す)必要があります。
新分野展開の定義
中小企業等が主たる業種(※1)または主たる事業(※2)を変更することなく、新たな製品等を製造等することにより、新たな市場に進出すること
(※1)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
(※2)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類または再分類の産業
総務省ホームページの産業分類はこちらから(別画面で開きます)
新分野展開に該当するために(事業計画で示す事項)
- 主たる事業または主たる業種を変更する場合は「事業転換」または「業種転換」を参照してください。
- 新分野展開に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。
【製造等の新規性要件】本記事の目次2-2.1 - 新分野展開に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。
【市場の新規性要件】本記事の目次2-2.2 - 3~5年間の事業計画終了後、新たな製品の売上高が総売上高の10%(※)以上となる計画を策定することが必要です。
【売上高10%要件】
※10%は申請するための最低条件です。新たな製品の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで、審査において高い評価を受けることができる場合があります。
新分野展開についての要件を満たす例
経産省の事業再構築指針による、新分野展開における例が記載されています。
例1は製造業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
例2は不動産業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
※これらはあくまで経産省による、わかりやすい例であり、この通りに策定すれば採択されるというわけではありません。
事業転換について -定義-
- 「事業転換」とは新たな製品等を製造等をすることにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。
- 「事業転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」・「市場の新規性要件」・「売上高構成比要件」の3つを満たす(=事業計画において示す)必要があります。
事業転換の定義
中小企業等が新たな製品等を製造等することにより、主たる業種(※1)を変更することなく、主たる事業(※2)を変更すること
(※1)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
(※2)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類または再分類の産業
総務省ホームページの産業分類はこちらから(別画面で開きます)
事業転換に該当するためには(事業計画で示す事項)
- 主たる業種を変更する場合は「業種転換」を参照してください。
- 事業に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。
【製造等の新規性要件】本記事の目次2-2.1 - 事業に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。
【市場の新規性要件】本記事の目次2-2.2 - 事業転換に該当するためには、3~5年間の事業計画終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。
【売上高構成比要件】
事業転換について要件を満たす例
経産省の事業再構築指針による、事業転換における例が記載されています。
例1は飲食サービス業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
例2は製造業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
※これらはあくまで経産省による、わかりやすい例であり、この通りに策定すれば採択されるというわけではありません。
業種転換について -定義-
- 業種転換とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
- 業種転換に該当するためには、「製品等の新規性要件」・「市場の新規性要件」・「売上高構成比要件」の3つを満たす(=事業計画において示す)必要があります。
業種転換の定義
中小企業等が新たな製品を製造することにより、主たる業種(※1)を変更すること
(※1)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大部類の産業
業種転換に該当するためには(事業計画で示す事項)
- 業種転換に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。
【製造等の新規性要件】本記事の目次2-2.1 - 業種転換に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。
【市場の新規性要件】本記事の目次2-2.2 - 業種転換に該当するためには、3~5年間の事業計画終了後、新たな製品等の属する業種が、売上高構成比の最も高い業種となる計画を策定することが必要です。
【売上高構成比要件】
業種転換について要件を満たす例
経産省の事業再構築指針による、業種転換における例が記載されています。
例1は賃貸業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
例2は製造業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
※これらはあくまで経産省による、わかりやすい例であり、この通りに策定すれば採択されるというわけではありません。
業態転換について -定義-
- 「業態転換」とは製品等の製造方法等を相当程度変更することを指します。
- 「業態転換」に該当するためには、「製造方法等の新規性要件」・「製品等の新規性要件」(製造方法変更の場合)・「売上高10%要件」の3つを満たす(=事業計画において示す)必要があります。
業態転換の定義
製品等の製造方法等を相当程度変更すること
業態転換に該当するためには(事業計画で示す事項)
- 業態転換に該当するためには、製品等の製造方法等が新規性を有するものである必要があります。
【製造方法等の新規性要件】下記項目参照 - 新たな方法で製造される製品が新規性を有するものである必要があります(製造方法を変更する場合に限る)
【製品の新規性要件】新分野展開・事業転換・業種転換と同じ定義のものです。本記事の目次2-2.2
注:この要件は製造業の分野で事業再構築を行う場合に限って必要となります。 - 既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの又は非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うもの(単に汎用性のあるデジタル機器やソフトの利用ではなく、これらを新たな提供方法のために事業に応じてカスタマイズする、改良するなど工夫(※1)が必要)である必要があります。(※2)(商品またはサービスの提供方法を変更する場合に限ります)
【設備撤去又はデジタル活用要件】
※1:例えばタブレット端末を利用するだけでは要件を満たさず、新たな提供方法のために事業に応じて、必要なデータベースを整備し、在庫管理等に用いるなどカスタマイズすることが必要
※2:上記要件は申請するための最低条件です。先進的なデジタル技術を活用する計画を策定することで、審査において高い評価を受けることができる場合があります。
注:この要件は、製造業以外の分野で事業再構築を行う場合に限って必要となります。 - これらを通じて、3~5年間の事業計画終了後、新たな製品等の製造方法等による売上高が、総売上高の10%以上を占める計画書を策定することが必要です。
【売上高10%要件】
※10%は申請するための最低条件です。新たな製品の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで、審査において高い評価を受けることができる場合があります。
製造方法等の新規性要件について(定義)
製造方法等の新規性要件を満たすには
①過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
②主要な設備を変更すること
③競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと
④定量的に性能又は効能が異なること
の4つのすべてを満たす(=事業計画に示す)必要があります。
製造方法等の新規性要件を満たすためには
製造方法等の新規性要件を満たさない場合
その他の業態転換の非該当例
業態転換について要件を満たす例
経産省の事業再構築指針による、業態転換における例が記載されています。
例1はサービス業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
例2は製造業の場合です。ではその要件を満たす考え方は以下の通りとなります。
※これらはあくまで総務省による、わかりやすい例であり、この通りに策定すれば採択されるというわけではありません。
事業再編について
- 「事業再編」とは会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことを指します。
- 「事業再編」に該当するためには、組織再編要件、その他の事業再構築要件の2つをどちらも満たす(=事業計画において示す)必要があります。
事業再編の定義
会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと
事業再編に該当するためには(事業計画で示す事項)
- 事業再編に該当するためには、会社法上の組織再編行為(※1)等を行う必要があります。
【組織再編要件】
※1:合併、会社分割、株式交換、株式移転又は事業譲渡等を指します。 - 事業再編に該当するためには、その他の事業再構築のいずれかの類型(※2)の要件を満たす必要があります。
【その他の事業再構築要件】
※2:新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換を指します。
組織再編要件について
組織再編要件とは、「合併」、「会社分割」、「株式交換」、「株式移転」又は「事業譲渡」等を指し、それぞれの場合の事業再構築の該当性の判断は以下の通りです。
事業再構築の定義のまとめ
各々の類型と要件、その概要の一覧をまとめたものが以下となります。
事業再構築の要件については、申請にあたっての最低条件となります。大事なのはこれらを踏まえたうえで、合理的で説得力のある事業計画を策定する必要があります。
そして事業計画策定においては、必ず「事業再構築指針」も確認したうえで、これに基づいた事業計画を策定してください。
各項目において、経産省より掲示された事例がありますが、これらはあくまでも把握しやすいようにと掲示された事例に過ぎず、同じような事業計画を策定した場合でも、不採択の可能性は十分にありますのでご留意ください。
事業再構築の定義については以上となります、ここからは
中小企業卒業枠
中堅企業グローバルV字回復枠
についてとなります。
中小企業卒業枠
中小企業卒業枠は、事業再構築を通じて、資本金または従業員を増やし、事業計画期間内に中小企業等から中堅企業・大企業等へ成長する中小企業等を支援するための特別枠です。
申請にあたっては通常枠の要件(※)に加えて
①組織再編要件
②新規設備投資要件
③グローバル展開要件
のうち、いずれかの要件を満たす(=事業計画において示す)必要があります。
※通常枠の要件
①売上が減っている
申請前直近6ヵ月のうち任意の3ヵ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヵ月の合計売上高と比較して10%以上の減少
②事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った、事業再構築の類型であること
③認定支援機関と事業計画を策定する
事業計画は認定経営革新等支援機関と策定。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加。
又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加を見込む事業計画の策定。
中小企業卒業枠の定義
事業再構築により、事業計画期間終了までに中堅企業・大企業等に成長することを目指す中小企業等を対象とした特別枠
中小企業卒業枠の考え方
通常枠の要件に加えて、次のいずれかの要件を満たし、中堅企業・大企業等に成長する計画を策定することが必要です。
- ①事業再編
会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行うことをいいます。
【組織再編要件】これは事業再編における【組織再編要件】と同義となります。 - ②新規設備投資
新たな施設、設備、装置またはプログラムに対する投資であって、中小企業卒業枠による補助金額の上乗せ分の2/3以上の金額を要するものをいいます。
【設備投資要件】 - ③グローバル展開
グローバル展開を果たすための事業に取り組むことをいいます。
【グローバル展開要件】
グローバル展開要件については次項にて記します。
グローバル展開要件について(定義)
グローバル展開要件は、
①海外直接投資
②海外市場開拓
③インバウンド市場開拓
④海外事業者との共同事業
のいずれかの要件を満たすことを事業計画において示すことです。詳しい定義は以下となります。
①海外直接投資
- 補助金額の50%以上を外国における支店その他の営業所又は海外子会社等(当該中小企業等の出資に係る海外法人等であって、その発行済株式の半数以上又は出資価格の総額の50%以上を当該中小企業等が所有しているもの)の事業活動に対する費用に充てることで、国内及び海外における事業を一体的に強化すること。
- 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること。
②海外市場開拓
- 中小企業等が海外における需要の開拓を行うものであって、事業計画期間終了までに本事業の海外売上高比率が50%以上となることが見込まれること。
- 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書を提出すること。
③インバウンド市場開拓
- 中小企業等が日本国内における外国人観光旅客の需要の開拓を行うものであって、事業計画期間終了までに本事業に係る製品又は商品若しくはサービスの提供先の50%以上が外国人観光旅客の需要に係るものとなることが見込まれること。
- 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること。
④海外事業者との共同事業
- 中小企業等が外国法人等と行う設備投資を伴う共同研究又は共同事業開発であって、その成果物の権利の全部又は一部が当該中小企業者等に帰属すること(外国法人又は外国人の経費は、補助対象外)
- 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(日本語訳・検討中の案を含む)を追加すること。
本要件は、中堅企業グローバルV字回復枠においてのグローバル展開要件と同義となります。
その場合、定義内容中の【中小企業等】を【中堅企業等】と読み替えてください。
中堅企業グローバルV字回復枠について
中堅企業グローバルV字回復枠は、事業再構築を通じて、コロナの影響で大きく減少した売上をV字回復させる中堅企業等を支援するための特別枠で、申請にあたっては、通常枠の要件に加えて、グローバル展開要件を満たすことで事業計画において示すことが必要です。
中堅企業グローバルV字回復枠の定義
新型コロナウイルス感染症によりその事業に大きな影響を受けているが、事業再構築により、事業計画の期間終了までにグローバル展開により事業の大幅な回復を目指す中堅企業(※)等を対象とした特別枠
※以下にあてはまる法人を指します。詳細は公募要領を参照してください。
・中小企業基本法に定める中小企業者に該当しないこと。
・資本金の額又は出資の総額が10億円の未満の法人であること。
・資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、従業員(常勤)が2,000人以下であること。
中堅企業グローバルV字回復枠の考え方
①通常枠の要件に加えて、グローバル展開を果たすための事業に取り組むことです。
【グローバル展開要件】
中小企業卒業枠における【グローバル展開要件】と同義となります。
以上が、事業再計画指針についてとなります。
定義が明確になったことにより、自社がどのような再構築を目指すのか、またどのような事業計画を策定するのか方針が見えてくるのではないでしょうか。
そしてそれと同時に、各類型・各要件を見てもわかるように、非常に厳しい審査となることが考えられます。その分、大きなチャンスでもある事業再構築補助金です。
フィールドマネジメントは、認定支援機関として認定・登録されています。
この事業再構築補助金についても受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。