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【中小企業診断士が教える】2021年ものづくり補助金の公募要綱・書き方・採択率まで徹底解説

こんにちは、㈱フィールドマネジメントの榎です。昨今の新型コロナウィルスの影響もあって、今年は補助金の注目度が急上昇しています。
そんな数ある補助金の中でも、今回は以下のような取り組みを考えている方に是非活用していただきたい内容となっています。

・働き方改革に対応するため、生産プロセスの改善を図る設備投資を行いたい!
・新商品や試作品の開発を行うための設備を導入したい!
・従業員の拡充による賃上げやインボイス制度に対応するため生産性を向上させる設備投資を行いたい!

 そう、今回解説する補助金は「ものづくり補助金」
最高1億円の補助金が交付される最も知名度の高い補助金です。それでは、解説していきます。

目次

ものづくり補助金の募集要項

まず、募集要項から見ていきましょう。

その① 対象者
ものづくり補助金における対象者は、以下の条件を満たす個人および法人です。





<条件1> すでに創業している。
<条件2> 以下の表に当てはまる。




まず株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社、個人事業主の場合、資本金か従業員数が下表の数字よりも下回っている必要があります。

 業種 資本金
(又は出資の額) 
 従業員数
(常勤)
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業、情報処理サービス業、その他の業種 3億円  300人
 卸売業 1億円  100人
 サービス業 5,000万円   100人
 小売業 5,000万円   50人
ゴム製品製造業 3億円   900人
 旅館業 5,000万円   200人


この表にある従業員数(常勤)については、以下の者は含まれません。
・日々雇い入れられる者
・2か月以内の期間を定めて使用される者
・季節的業務に 4か月以内の期間を定めて使用される者
・試用期間中の者は含まれません。

また表における条件を満たしていても、次の条件に該当する場合は対象者から除かれます。





<条件1> 発行済株式の総数・出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している
<条件2> 発行済株式の総数・出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している
<条件3> 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている
<条件4> 発行済株式の総数・出資価格の総額を条件1~3に該当する中小企業者が所有している
<条件5> 条件13に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている
<条件6> 公募開始時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える



 

次に組合関連企業者の場合は、下表にある組合等に該当している必要があります。

 組織形態
 企業組合
協同組合
事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
商工組合、商工組合連合会
商店街振興組合、商店街振興組合連合会
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会
内航海運組合、内航海運組合連合会
技術研究組合(直接又は間接の構成員の3分の2以上が中小企業者であるもの)


最後に、特定非営利活動法人の場合、以下の要件を満たしている必要があります。

広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人であること。
従業員数が300人以下であること。
法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34業種)を行う特定非営利活動法人であること。
認定特定非営利活動法人ではないこと。
交付決定時までに補助金の事業に係る経営力向上計画の認定を受けていること。


ものづくり補助金対象者のまとめ

その② 賃金引き上げと事業計画の表明

ものづくり補助金の事業計画を作成するにあたり、以下の3点の要点を満たす必要があります。
また、従業員への周知も必要になりますので、事務所内などの閲覧できる場所へ計画書を設置しておきましょう。





<要点1> 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
<要点2> 事業場内で最も低い賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
<要点3> 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加




要点1にある給与支給総額とは、非常勤を含む全従業員と役員に支払った給料、賃金、賞与及び役員報酬 等は指します。
その他の福利厚生費、法定福利費や退職金は除かれるためご注意ください。


賃金引き上げと事業計画の表明要件のまとめ

その③ 補助金の返還要請に同意する(給与支給総額の増加目標が未達などの場合)

ものづくり補助金を申請し採択された後には、事業計画の条件で記載した通り3点の増加要件を満たす必要があります。
それらが目標未達であった場合に、相応の補助金を返還する必要があります。
なので、むやみやたらに良い計画書だけを描いても、実態と乖離していては結局返還しなくてはなりません。
そういった意味でも、適切な専門家をチョイスして共に計画書の作成を行う環境がベストです。

まず返還要求としては、以下の2項目に沿って解説します。





<ケース01> 給与支給総額の増加目標が未達の場合
事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は次のうち、いずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分の返還が求められます。
・導入した設備等の簿価
・導入した設備等の時価
※補助金額に対応する分=(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)

<ケース02> 事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
事業計画期間中の毎年3月時点において、事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。

ただし、それぞれ以下の条件下であった場合は、返還は求められません。
・付加価値額増加率が年率平均1.5%に達しない場合
・天災など事業者の責めに負わない理由がある場合




その他、補助金を補助事業以外で使用した場合や申請内容に虚偽がある場合などの悪質とみられるケースについては、補助金の全部あるいは一部が取り消されることとなります。

補助金の返還要請ケースの一覧

その④ ものづくり補助金へ応募申請する時点で工場や店舗等を所有しているこ

以上が募集要項になります。

公募要領(公募回数・審査・採択スケジュール)

次に公募要領や採択スケジュールについて解説します。
まず採択スケジュールについて、それぞれ期間が設けられてあるためそれに沿って申請を行います。





・応募期間
約1ヶ月半~3ヶ月設けられます。(申請時期によって変動します。)
ものづくり補助金は、毎年募集されていますが、この応募期間の間に事業計画の作成を完了させ、申請手続きを行う必要があるのでご注意ください。

・審査期間
応募期間終了後、約1ヶ月の間に審査が行われます。
直近では、新型コロナウィルスの影響もあり審査期間が大幅に延長されることもありました。

・採択通知
審査が完了し、採択結果はWebサイトにより公表されます。また、採択された方には電子メールによって通知が届きます。

・交付申請
採択通知から約1ヶ月の期間が設けられます。交付申請では、応募申請の際に提出した事業計画書を更に詳細に記載する必要があります。
例えば、実際の見積もり書などをベースにした、より正式な金額を提示するなどのブラッシュアップを行います。この交付申請によって、その事業の内容と費用が再度審査されることになります。この時の注意点として、この時点ではまだ契約や支払いを行っても補助対象経費として見なされず、補助金の対象となりません。

・交付決定
交付申請後、約1ヶ月で交付決定が行われます。交付決定の際には「交付決定通知書」が郵送されます。
交付決定通知書に記載してある日付から初めて、補助事業の発注や契約、支払いがスタートできます。

・補助事業実施期間
交付決定後から10ヶ月間の補助事業実施期間に入ります。ものづくり補助金の場合、このように期日が設けられているため、採択されたとしても期日を超えた支払は補助金の対象外となってしまうためご注意ください。

・中間報告
補助事業開始後、一定の期間を過ぎると事務局へ中間報告を行います。場合によっては、この時点で補助金の概算払いが行われるケースもあります。
中間報告には、
◇書面検査 ・・・ 経理等に関する証憑書類を提出するケース
◇実地検査 ・・・ 監査員が訪問し、現場で調査するケースの2点があります。

・実績報告
以下の期日までに「補助事業実績報告書」を提出する必要があります。
◇補助事業完了日から起算して30日を経過した日
◇10ヶ月間の実施期間の終了日
このどちらかの早い日が申請期日となります。

・補助金の請求
「補助事業実績報告書」を提出した後に、交付額の決定通知が届きます。それに沿って「補助金交付申請書」を提出することで補助金が支払われます。




このように細かなスケジュールに沿って補助事業を遂行する必要があります。
よって、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きがこの期間内に完了する事業であることが求められます。

採択スケジュール表 (参照)中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構 「公募スケジュール」

次に、公募回数について解説します。
まず、令和3年度のものづくり補助金の公募回数は、昨年同様おおむね3ヶ月毎に、年に4回の締め切りがある予定です。
ただし、昨年では回を追うごとに採択率が減少していきました。わが社でも、今年も同様のケースとなる可能性を想定しています。
よって、早めの応募が採択率を上げる鍵となるでしょう。また仮に、応募をして不採択となったとしても、次回も同じ事業内容で応募が可能です。

<令和2年度 採択結果>

 締 切 回 採 択 発 表 日  ものづくり補助金
応募者数
 ものづくり補助金
採択者数
1次 令和2428 2,287 1,429
2次 令和2630 5,721 3,267
3次 令和2925 6,923 2,637
4次 [ 一般型 ] 令和3218 10,041 3,132
4次 [グローバル展開型] 271 46
5次 [一般型] 令和3331 5,139 2,291
5次 [グローバル展開型 ] 160 46

 

【最高1億円の補助】ものづくり補助金の対象となる条件・テーマ

それでは次にものづくり補助金のタイプについて解説します。
現時点でのものづくり補助金には大きく3つのタイプが存在します。





・ものづくり補助金(一般型)補助額最大1,000万円
・ものづくり補助金(グローバル展開型)補助額最大3,000万円
・ものづくり補助金(ビジネスモデル構築型)補助額最大1億円




ものづくり補助金(一般型) 

それでは順を追って説明します。
まず、ものづくり補助金(一般型)についてご説明しますね。ものづくり補助金の一般型については、皆さんも想像が容易いでしょう。
この一般型の目的は、中小企業・小規模事業者などが革新的なサービスや試作品の開発、あるいは生産プロセスの改善を行うための設備投資などに対する支援を指します。

例えば・・・
・新たな需要に対して業務フローを改善するための設備を導入したい!
・働き方改革の促進を図るために生産性を管理する業務システムを導入したい!
・供給が追い付かないため生産スピードを向上させる設備を導入したい!などが当てはまります。

更に、一般型のみにだけ新しい枠が創設されました。
それは。「低感染リスク型ビジネス枠」というものです。

本来ものづくり補助金の補助率は中小企業者の場合1/2となっています。
例)500万円の機械装置代を補助金請求 → 補助率1/2なので補助金は250万円という計算

 しかし、この枠に該当すると中小企業者であっても補助率が2/3に引き上げられます。
例)500万円の機械装置代を補助金請求 → 補助率2/3なので補助金は約330万円という計算
更には広告宣伝費・販売促進費も補助対象経費に該当するというものです。

それでは、この「低感染リスク型ビジネス枠」に該当するにはどうすれば良いのでしょうか?
それは補助対象経費全額が、以下のいずれかの要件に合致する投資であることです。




・物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
 例:A IIoT等の技術を活用した遠隔操作
     自動制御等の機能を有する製品開発
        オンラインビジネスの転換等

・物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
 例:ロボットシステムの導入によるプロセス改善
   複数の店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築等

ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資

この内、Cの項目に関して1つ注意点があります。
それは、キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな寄与が見込まれない機器の購入は、原則として、補助対象経費にならないということです。




低感染リスク型ビジネス枠の特徴低感染リスク型ビジネス枠の特徴 (参照)中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構

ものづくり補助金(グローバル展開型)
次に、ものづくり補助金(グローバル展開型)についてご説明します。
ものづくり補助金のグローバル展開型は、中小企業等の海外事業(海外拠点での活動を含む)の拡大・強化等を目的とした設備投資等の支援を行うために設けられた補助金です。
このグローバル展開型で応募を行うには、以下の4つの型のうち1つの型の各条件を満たす必要があります。




1類型 海外直接投資
<条件>
・国内と海外の双方の事業を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。
・国内に所在する本社を補助事業者とする。
海外支店の補助対象経費が2分の1以上なる。
・国内の本社を含む事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得すること。
・応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を追加提出すること。
・実績報告時に、海外子会社等との委託契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。

2類型 海外市場開拓
<条件>
・国内に補助事業を実施できる場所を有し、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となる。
・計画で策定した補助事業の売上累計額が、補助額を上回る計画であること。
・応募申請時に、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書を追加提出すること。
・実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。

3類型 インバウンド市場開拓
<条件>
・国内に補助事業を実施できる場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となる。
・計画で策定した補助事業の売上累計額が、補助額を上回る計画であること。
・応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書を追加提出すること。
・実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。

4類型 海外事業者との共同事業
<条件>
・国内に補助事業を実施できる場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等である。
・共同研究などの成果物の権利が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
・応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を追加提出すること。
・実績報告時に、当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること。




ものづくり補助金(グローバル展開型)の特徴グローバル展開型の特徴 (参照)中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構

ものづくり補助金(ビジネスモデル構築型)
最後に、ものづくり補助金(ビジネスモデル構築型)について解説します。
このビジネスモデル構築型の目的は、中小企業によるイノベーション創出を後押しするために、斬新なアイデアや革新的なビジネスモデルを支援するために創設されました。
これまでご解説してきた、ものづくり補助金(一般型・グローバル展開型)とは全く性質の異なるタイプです。
というのも、これまでの(一般型・グローバル展開型)が自社を中心とした補助でした。
しかし、このビジネスモデル構築型は30社以上の企業が集まって事業を展開することで申請が可能になります。
よって、このタイプを応募する事業例としては、
AI等を駆使した業務システムを構築して新しいマーケットを創り出す
・ロボットや3Dプリンタを用いたビジネスモデルを試行する
・海外展開を強みとする企業が集まり新規事業を開発するためのニーズ調査を行うなどが挙げられます。

このような条件があるものの、補助額が最大1億円ということもあって申請数の多いタイプですが、採択率は大変厳しい状況です。
直近の採択率は以下のような結果となっております。

 採択結果発表日 応募者数  採択者数
  令和2年7月10日   356  18


採択率は約5%。非常に狭き門ではありますが、ポストコロナによって経済動向がガラリと変わった今、非常に有力な選択肢の一つです。

事業類型の補助金上限額と補助率、対象経費

次に各事業類型について解説します。



<ものづくり補助金(一般型)>

  項目  要件
      補助金額      100万円~1,000万円
 補助率 中小企業者1/2
小規模企業者2/3
 設備投資 単価50万円(税抜き)の設備投資が必要
 補助対象経費 機械装置、原材料費、システム構築費、外注費、
技術導入費、専門家経費、知的財産権等関連経費、
クラウドサービス利用証


<ものづくり補助金(一般型:低感染リスク型ビジネス枠)>

  項目  要件
      補助金額      100万円~1,000万円
 補助率 2/3
 設備投資 単価50万円(税抜き)の設備投資が必要
 補助対象経費 機械装置、原材料費、システム構築費、外注費、
技術導入費、専門家経費、知的財産権等関連経費、
クラウドサービス利用証、広告宣伝費、販売促進費


<ものづくり補助金(グローバル展開型)>

  項目  要件
      補助金額      1,000万円~3,000万円
 補助率 中小企業者1/2
小規模企業者2/3
 設備投資 単価50万円(税抜き)の設備投資が必要
 補助対象経費 機械装置、原材料費、システム構築費、外注費、
技術導入費、専門家経費、知的財産権等関連経費、
クラウドサービス利用証、海外旅費


<ものづくり補助金(ビジネスモデル構築型)>

  項目  要件
      補助金額      100万円~1億円
 補助率 大企業1/2
それ以外の法人2/3
 設備投資 中小企業30社以上に支援プログラムを実施する
 補助対象経費 機械装置、システム構築費、外注費、クラウドサービス利用料
技術導入費、専門家経費、知的財産権等関連経費、
旅費、人件費、謝金、会議費、広報費、運搬費。消耗品費


※採択後の事業類型の変更はできませんので、事業計画を策定する際は、事業コンセプトを明確にし、どれに該当するかよく吟味する必要があります。


<ものづくり補助金(一般型・グローバル展開型)対象経費>ものづくり補助金(一般型・グローバル展開型)対象経費まとめ (参照)中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構

ものづくり補助金(ビジネスモデル構築型)対象経費のまとめものづくり補助金(ビジネスモデル構築型)対象経費のまとめ (参照)中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構

審査のポイント(審査項目)・体制・方法

それでは、審査のポイントについて解説します。審査には大きく4つの項目で審査が行われます。
・適格性
・技術面
・事業化面
・政策面



 
適格性
まず適格性について解説します。
適格性では、以下の2点に注意しましょう。

・補助対象事業の要件を満たすか?
35年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取り組みであるか?
ここでは加点というよりも、ものづくり補助金の申請に値するかが判断されます。
以下が必須事項になります。

・補助金の交付決定日から10ヶ月以内に補助事業を実行できるスケジュールか
・付加価値の年率平均が3%以上の増加となっているか?
・給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加となっているか?
・事業場内最低賃金の地域別最低賃金+30円以上の水準にできているか?

以上、スケジュールや数値計画に誤りはないかなど、今一度確認をしておきましょう。

技術面
次に技術面について解説します。
技術面においては、4項目の審査が行われます。

・新製品・新サービス等の革新性はあるか?
・補助事業や既存事業における課題が明確になっているか?
・課題の解決方法が明確かつ妥当であり、他社と比較して優れている点はあるか?
・補助事業実施のための技術的能力が備わっているか?

ここでは商品力やサービス力があるかを審査されます。
現状の課題や既存事業を分析し、今後の事業を発想して問題点がないかを見直しましょう。
数ある審査項目の中でも、この技術面には最も重要な項目があります。

それは、「革新性」です。
この革新性が備わっていなければ、不採択となる確率が跳ね上がります。
革新性についての詳しい解説は、下部に記載しております。

事業化面
次に事業化面について解説します。
事業化面では主に、資金面やマーケット、価格設定、収益性の面で審査が行われます。
事業化面の審査項目における解釈は以下の通りです。

・補助事業実施のための社内外の体制は適切か?(人材、事務処理能力、専門的知見等)
最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか?
・金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか?
(グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか)。
・市場ニーズ及びターゲット、市場規模が明確か?
・クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか?
(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。
・補助事業の成果が価格面・性能面が優れており収益性があるか?
・事業化に至るまでの遂行方法とスケジュールは妥当か?
・補助事業として費用対効果が高いか?
(費用対効果=補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)

これを全て満たす必要はありませんのでご安心を。いずれも事業を遂行するために人・金・モノが適切であるかを再度確認しましょう。

そして費用対効果については、投資額に対して最低でも25%は担保できる計画を目指しましょう。(遂行する事業により担保する数値は異なります。)
例)1,500万円の投資 → 利益375万円/年

政策面
最後は政策面について解説します。
制作面における審査ポイントは3点あります。
・地域の経済性
・雇用の創出
・新たなビジネスモデルの創出
それぞれのポイントに沿って見ていきましょう。

まず地域の特性と雇用の創出、賃金の上昇について・・・
政策面における審査基準は以下のように記載されています。


・地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか
(グローバル展開型では、事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか)。
・異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

 
この審査項目を要約すると、補助事業を遂行することで、
新たな雇用が生まれる事業計画か?
他社にも良い経済的影響を与えられるか?
・補助事業を通して地域全体が経済成長できるか?
ということを審査されます。
よって、計画書を作成する際は、

・補助事業を遂行することで、どのような雇用が創出されるのか
・どのような企業と取引を行っていくのか
・そしてそれが数値としてどれだけインパクトがあるのか?

分かりやすく記載することで加点されるということになります。

次に新たなビジネスモデルの創出について・・・
制作面における審査基準は以下のように記載されています。

・ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
・先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。


この審査項目を要約すると、
・模倣性の高い(簡単に真似されやすい)事業ではなく、事業の分析と検証により障壁の高い事業が形成できているか?
国の環境方針に沿った事業を遂行するか?(デジタル技術の活用、低炭素技術の活用など)

ということを審査されます。
よって、導入する設備などが省エネ・エコ仕様になっているのかを確認しましょう。
また、マーケティングにおいては詳細なスケジュールと調査方法を記載することで加点を得やすくなります。

審査体制・審査補法

それでは次にものづくり補助金の審査体制・審査方法について解説します。
まずは、平成28年度までの審査方法から見ていきましょう。
以下へものづくり補助金の効果を分析したディスカッションペーパーの一部を引用しております。

各事業者による申請は、各都道府県毎にある地域事務局に設置された地域採択審査委員会において、事業内容の技術的新規性等の「技術⾯」、事業としての市場性等に関する「事業化⾯」の得点が付けられ、各経済産業局及び沖縄総合事務局において、政策の⽬的に照らした妥当性などに関する「政策⾯」の得点が付けられた。これら 3 つの得点が合計された評価点が算出された。各地域採択審査委員会は書⾯審査結果を基本として案件の順位付けを⾏い、全国採択審査委員会に提出し、全国採択審査委員会は、採択ボーダーライン近傍の案件を再審査し、最終的な採択案件が決められた。採択ボーダーライン近傍の案件のみ多くの審査員が評価することで、審査コストを抑えつつ事業計画の審査を精緻化することが⽬的であった。ただし、再審査の際、採択の可否のみを⾒直し、点数を再評価することは⾏わなかった。なお、上記の審査⽅法は、平成 29 年度事業以降は実施されていない。補助⾦の⽀払いは、事業終了後に実績報告書が提出され、補助⾦額が確定した後に精算払いされた。


この文章から、以下のような審査が行われていることが分かります。

 審査項目 審査内容  審査機関
      技術面       事業内容の技術的新規性等 各都道府県の地域採択審査委員会
      事業化面       事業としての市場性等
      政策面       政策の目的に照らした妥当性等 各経済産業局
沖縄総合事務局

審査機関による評価点を合計し、順位付けが行われて採択案件が決められます。

また再審査においては次のように記載があります。

再審査の対象となる評価点の範囲は、各公募次により異なる。具体的には、平成 24 1 次公募 2 次締切では各都道府県の中で上位 32%から 40%に位置する案件、平成 24 2 次公募では上位 43%から47%、平成 25 1 次公募 1 次締切と 2 次締切では上位 35%から 39%、平成 25 2 次公募では上位28%から 32%が再審査にかけられるとなっていた。ただし、それらのボーダーラインは予算残額等により変更され得ることが明記されていた。


つまり、再審査においてはボーダーラインに当てはまった案件のみ、全国採択審査委員会による再審査が行われるということです。
この審査方法は平成29年度以降の実施はない旨、記載がありますが抜本的な審査方法の変更はなく微調整程度が行われているのではないかと推察しています。

採択率を高める最重要項目「革新性」

ここまで審査のポイントを解説してきました。
この審査項目のうち、最も重要な項目をお教えします。

それは、革新性です。

ものづくり補助金の革新性とは以下の2ステップで考える必要があります。




ステップ1
・今まで自社にないものであるか?
・補助事業の業界や商圏においても一般的な方法ではないか?

ステップ2
以上を念頭に置きながら、以下について考えてみましょう。
・既存技術の転用ができているか
・隠れた価値の発掘となっているか




それではステップ毎に解説します。
まずステップ1における「一般的な方法ではない」とはどういうことか?
それは、同業や商圏内における他社が当たり前のように使っている製造方法・提供方法などではないことを指します。
なので、まだ地球上に出回っていない製造方法を発見するとか、前人未到の領域まで業務フローを作るといったことではありません。
あくまで、一般的な方法でないか?という趣旨です。

続いて、ステップ2について解説します。
既存技術の転用について・・・
まずは事例をお話しします。

A社はニッパーなどの工具を製造販売していた。A社の強みは刃の形成技術による抜群の切れ味の良さである。この技術を活かし美容器具へ転用することで専門職用の爪切りなどを製造する。


これが既存技術の転用です。
今ある技術を別の何かに活かすことで革新性のある事業とみなされます。

次に隠れた価値の発掘について・・・
これは、これまで見ていなかった顧客ニーズに応えることを指します。
先程の事例のように、今までは「工具を欲する顧客」に対する事業であったものが、「美容器具を欲する顧客」へとニーズを発掘することができました。
このように革新性の基準をクリアすることで採択の可能性が上がります。
弊社の成功事例においても、革新性を分かりやすく記載することで高い採択率が維持できていると推測しています。

申請方法

ものづくり補助金の申請方法について解説します。
まず大前提として、申請する前に必ずGビズI Dプライムの取得を行ってください。

GビズIDプライムの取得には以下の書類が必要になります。

   法人   印鑑証明書
※法務局にて発行
代表社員
   個人事業主   印鑑登録証明書
※市区町村にて発行 
 個人の実印

※印鑑証明書及び印鑑登録証明書は発行から3ヶ月以内のもの
現在、新型コロナウィルス感染症の影響もあり手続き完了まで時間を要することが考えられます。余裕を持って事前に取得を行っておきましょう。

GビズI Dプライム取得後は、ものづくり補助金総合サイトより電子申請を行います。
電子申請については、GビズIDプライムで取得したIDとパスワードによりログインします。
その後の手続きについては、マニュアルが交付されていますので、それに沿って入力を行っていきましょう。

採択率が高くなるポイント

それでは次に採択率が高くなるポイントを特別にお教えいたします。
押さえておきたいポイントは3点です。
それは・・・




・審査項目に沿った事業計画書が作成できているか?
・グラフや図を用いて分かりやすい記載ができているか?
・加点項目を押さえているか?



それでは、 一つずつ見ていきましょう。

審査項目に沿った事業計画書が作成できているか?
これは上部でもお伝えした通り、計画書には審査のポイントが決まっています。
これを無視して計画書を作成してしまうと減点対象となりますので注意しましょう。
初めて計画書を作成される場合は、以下の手順での作成をオススメします。

1,計画書を作成する前に、どんな項目を記載するか大きなテーマに分ける。
2,そのテーマを見返して審査のポイントに沿っているか確認して作成に取り掛かることをオススメします。 

グラフや図を用いて分かりやすい記載ができているか?
あなたが申請する計画書を見る審査員は、その計画書からあなたの状況を掴み取ります。
特に作業工程の説明を行う場合は、専門用語などを記載する必要もありますので、イメージを膨らませやすい図・表を用いましょう。
フリーの画像素材を組み合わせて表現する方法、自らイラストを描いて掲載する方法など、どうすれば伝わりやすいかを意識して計画書の作成に取り掛かりましょう。


加点項目を押さえているか?
ものづくり補助金の公募要領に「審査項目・加点項目」といったページが存在します。
そこにある加点項へ該当する部分があったならば是非、計画書に落とし込みましょう。
以下に加点項目の要領を転載しております。

(5)加点項目
① 成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」
② 政策加点:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
※ 会社成立の年月日(個人事業主の場合は開業日)又は代表取締役の就任日が公募開始日から5年以内で
ある場合に対象となります。なお、個人事業主や組合にあっては「第二創業」の加点はありません。
③ 災害等加点:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」
④ 賃上げ加点等:
④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」
※ 最大5項目の加点が可能(添付書類点数は最大4点)。
※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件に合致した場合にのみ加点されます。



以上、採択率が高くなるポイントでした。
こういった一つ一つの問題点や改善点、事業への想いを積み重ねて計画書によって繋ぎ合わせていきます。
そうすることで、より実現可能性の高い計画書へとブラッシュアップされていくのです。
もし計画書の作成が困難だと感じましたら中小企業診断士などの専門家へ相談しましょう。

採択された事例

最後に、これまで弊社がものづくり補助金の申請サポートを行ってきた中で2社の事例をご紹介します。(※ただし、機密保持契約の締結上、詳細等は省かせて頂きます。)

中)事例1
Y社 様
これまで出来立ての飲食物の提供を行っていたが、現在の生産モデルの場合、賞味期限の兼ね合いから遠方への販売が困難であった。
そこでチルド機能のある生産機器を導入したことにより、これまでの工程の省略化と販路拡大につながったことで革新性等があると判断され無事採択された。 

中)事例2
K社 様
これまでウェディングのプロデュースを手掛けており、二次会の会場設定までサポートを行っていた。100店以上にも上る飲食店との関係がありながらも管理体制がExcelによるものであったため店舗の更新情報の反映が遅延しており、管理時間に大変な時間を要していたが、新たに管理システムを導入したことでこれまでの工程が大幅に減少し、生産性が向上した結果、無事採択となった。

弊社のものづくり補助金やその他の補助金等の事例についてはコチラにも掲載をしております。
その他の事例については、ものづくり補助金関連サイトに採択案件が記載されています。

最後に

弊社はこれまで数多くの申請サポートを行ってきました。
その中でも、ものづくり補助金に関しては採択実績95%と非常に高い実積率を誇っています。
新型コロナウィルスの影響により、経済情勢が様変わりする今こそ変革の時です。

ものづくり補助金を積極的に活用したい!と思われたあなたへ
是非、弊社へ気軽にお問い合わせください。

株式会社フィールドマネジメント
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TEL : 082 - 555 -3266