【ものづくり採択率】第10次ものづくり補助金、採択結果について
令和元年度補正予算・令和3年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(一般型・グローバル展開型:10次締切)について、採択結果が公表されました。
目次
ものづくり補助金(一般型・グローバル展開型:10次締切)採択結果
令和元年度補正予算・令和3年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(一般型・グローバル展開型:10次締切)について、令和4年2月16日(水)から令和4年5月12日(木)まで公募を行い、応募のあった4,294者について審査を行った結果、2,612者を採択しました。
(引用:中小企業庁HP)
10次締切について、申請件数4,294件に対して2,612件が採択という結果となりました。この10次についての採択率は60.83%となります。
第9次まで創設されていた新特別枠の低感染リスク型は終了、そして新設された申請枠があるため各申請枠による申請数、採択数、採択率については以下の通りとなっています。
申請 | 通常枠 | 賃上げ回復型・雇用拡大枠 | デジタル枠 | グリーン枠 | グローバル展開型 |
---|---|---|---|---|---|
申請数 | 3,015件 | 239件 | 828件 | 142件 | 70件 |
採択数 | 1,773件 | 159件 | 553件 | 99件 | 28件 |
採択率 | 58.81% | 66.53% | 66.79% | 69.72% | 40% |
また、通常枠とグローバル展開型の採択率の動きは以下の通りです。(グローバル展開型が開始された第4次より掲載)
採択率推移 | ||
---|---|---|
通常枠 | グローバル展開型 | |
第4次採択率 | 47.11%(※) | 16.97% |
第5次採択率 | 48.48%(※) | 28.75% |
第6次採択率 | 47.32%(※) | 34.29% |
第7次採択率 | 53.74%(※) | 41.94% |
第8次採択率 | 67.11%(※) | 39.13% |
第9次採択率 | 67.51%(※) | 39.34% |
第10次採択率 | 58.81% | 40% |
全体の推移については以下のグラフとなります。

第9次では申請者数が4,000件を切る過去2番目に少ない申請者数と落ち込むも第10次では再び上昇をみせ、採択率は1.36%減少しましたが第9次と続き60%台を維持しています。
採択率60%台を維持できた背景として、第10次より新たな枠組の【賃上げ回復型・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠】が追加されています。こちらについての採択は初となります。それぞれ60%台を超える比較的高い採択率という結果が今回の採択率に影響したと思われます。
通常枠については、第9次67.51%と高い数値から今回の58.81%と10%近い減少ではあるものの、こちらは第9次で終了した『新特別枠の低感染リスク型』の再審査による影響を受けなくなったことによるものです。詳しくは次項の下記グラフをご覧ください。
グローバル展開型については、補助金額が最大3,000万円ではあるものの、その要件の難度も高く採択率は低めとなっています。過去2回分をみても第8次39.13%、第9次39.34%であり、ほぼ同程度の推移となりました。
申請枠の新設により第10次以降も申請が分散されていくと思います。特別枠が終了し再審査による採択の影響がなくなった今、これからも申請の中心となるであろう通常枠はこれまで数多くの申請と採択が行われてきました。そこで通常枠で採択された申請の推移をグラフにしたものをご用意しました。

第2次より特別枠で不採択の場合、通常枠での再審査による採択が行われていました。コロナウイルス感染症への対策を中心とした特別枠について、その仕様・要件が変更されているため(第2次~第4次が「特別枠」、第5次より「新特別枠」として低感染リスク型が該当)一概には言えませんが、こうして過去を振り返ると再審査による影響が採択率の数値では大きく表れていることがわかります。それと同時に、これまでの通常枠のハードルの高さも改めて伺うことができます。これまで10回のうち通常枠のみで半数を超えたケースが第1次、第8次、第9次、第10次しかありません。
このような推移を経ていた通常枠の採択ですが、見て頂くとわかる通り新設された枠組による再審査による採択はありませんので、今後は細分化された枠で採択を目指すことになります。第10次では58.81%と通常枠のみの採択でみると第9次と同等で比較的高い数値となっていることもあり、細分化されたことで申請において事業計画の方向を定めやすくなることが考えられ、各申請においてより適切な計画書作成と採択者の上昇が見込めるのではないでしょうか。
通常枠をはじめ新設された枠組のこれからの申請数や採択数の動きに、今後も注視していきます。
通常枠の補助金額上限変更、新しく追加された枠組について
第10次より通常枠の補助金上限変更となり、従業員数により細分化されています。補助率についてはこれまでと同様の1/2、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者については2/3となります。
従業員規模 | 第9次まで | 第10次以降 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円~1,000万円 | 100万円~750万円 |
6人~20人 | 同上 | 100万円~1,000万円 |
21人以上 | 同上 | 100万円~1,250万円 |
賃上げ回復型・雇用拡大枠
賃上げ回復型・雇用拡大枠については、『業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産ロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援』する枠になります。こちらは『応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいる事業者』が対象となるためご注意ください。
よって、申請において基本要件の他に以下の要件が必要となります。
- 前年度の事業年度の課税所得がゼロであること。
- 常時使用する従業員がいること。
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること。
デジタル枠
デジタル枠については、『DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援』する枠となります。
申請において、基本要件の他に以下の要件すべて満たす必要があります。
- ① DXに資する革新的な製品・サービスの開発であることまたは② デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善であること。
- 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。※1
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること。※2
※1:DX推進指標サイトリンク 自己診断結果入力サイトリンク
※2:「SECURITY ACTION」公式サイトリンク
新しく追加された【賃上げ回復型・雇用拡大枠、デジタル枠】の補助金額、補助率は次の通りとなっています。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円~750万円 | |
6人~20人 | 100万円~1,000万円 | 2/3 |
21人以上 | 100万円~1,250万円 |
賃上げ回復型・雇用拡大枠については全額返還のケースについて強く記されています。こちらを申請される場合にはお気を付けください。
<回復型賃上げ・雇用拡大枠において、給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合>
(引用:第10次公募要領)
・回復型賃上げ・雇用拡大枠は、従業員に対する賃上げ等を前提とした優遇制度であることから、
上述の2つの増加目標未達の場合に加え、同枠で採択された事業者が補助事業を完了した事業年
度の翌年度の3月末時点において、給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一
方でも達成できていない場合には、補助金交付額の全額の返還を求めることとします。
グリーン枠
グリーン枠については、『温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援』する枠となります。
要件においては、基本要件の他に以下のすべての要件を満たす必要があります。
- ①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発であること又は②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善であること。
- 3~5年の事業計画期間内に、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。
- これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具体的な取組内容)を示すこと。
グリーン枠については補助金額上限が大きく設定されています。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円~1,000万円 | |
6人~20人 | 100万円~1,500万円 | 2/3 |
21人以上 | 100万円~2,000万円 |
追加された枠組については以上となります。
ものづくり補助金は現在第11次の公募しております。こちらの応募締切は令和4年8月18日(木)17時となっています。第10次より枠組が増えたこともあり、ものづくり補助金が大きく変化しています。公募要領をよく確認し不備の内容に、また補助金申請を支援する機関も多くありますのでそちらへのご相談もお考え下さい。