事業再構築補助金第10回の公募が公表されました。申請枠(事業類型)についてご紹介します。
令和5年3月30日、事業再構築補助金の第10回公募が公表されました。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の事業再構築を支援する事業再構築補助金ですが、第10回となる本公募よりその内容が大きく変化しております。
コロナや物価高への影響を受けた事業者への支援となる「物価高騰対策・回復再生応援枠」、産業構造等の変化に対応すべく事業再構築が強く求められる事業への「産業構造転換枠」、海外での部品製造から国内回帰によりサプライチェーンや地域活性化に取り組む事業者への「サプライチェーン強靭化枠」、成長分野への事業再構築を支援する「成長枠」等、ポストコロナ社会を見据え、未来を切り拓くための取組を重点的に支援する事業類型が創設されています。
このように第10回より大きく変化をみせた事業類型を中心に、第10回事業再構築補助金をご紹介いたします。
目次
公募スケジュールについて
第10回の公募スケジュールは以下のとおりです。
- 公募開始:令和5年3月30日(木)
- 申請受付:調整中
- 応募締切:令和5年6月30日(金)18:00
- 採択発表:令和5年8月下旬~9月上旬頃(予定)
受付時期については、現在のところ調整中となっています。
事業類型について
第10回より事業再構築補助金の事業類型が大きく変化をみせたことは前述したとおりですが、その中身を見ていきます。まず、各類型をご紹介します。
- 成長枠
- グリーン成長枠(エントリー)
- グリーン成長枠(スタンダード)
- 卒業促進枠
- 大規模賃金引上促進枠
- 産業構造転換枠
- 最低賃金枠
- 物価高騰対策・回復再生応援枠
- サプライチェーン強靭化枠
この類型から第10回より事業再構築補助金として支援を受けることができる枠となります。
事業類型の概要
事業再構築補助金の事業類型には、以下の基本となる要件が存在します。
- 【事業再構築要件】
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること。 - 【認定支援機関要件】
事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)の確認を受けていること。 - 【付加価値額要件】
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。(年率平均の必要増加値は申請枠により異なります)
まず、「事業再構築の定義(※)に該当すること」、つぎに「認定経営支援機関の確認を受けること」、最後に「付加価値を向上させること」になります。これらは、過去9回に渡り行われてきた事業再構築補助金と同様に基本的に満たす必要がある要件となります。
※新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰における各々の定義については「事業再構築指針の手引き」をご参照ください。
この3つを基本とし、各事業類型をご紹介いたします。
成長枠
成長枠とは、成長分野への大胆な事業再構築へ取り組む中小企業等を支援する類型です。
成長枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に以下の要件が追加されます。
- 【市場拡大要件】
取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態(※)に属していること。
※対応する業種・業態については事務局より指定リストが公開されています。 - 【給与総額増加要件】
事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。
これら5つの要件を満たすことで申請が行えます。ただし、【付加価値額要件】については、年率平均4%以上となりますのでご注意ください。
市場規模が10%以上拡大する業種・業態については、事業再構築補助金公式サイトにて対象リスト案内が行われております。また、指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨データ等を提出し認められた場合には対象となります。業界団体からの指定申請も受け付けていることから、成長枠の対象業種・業態の拡大は行われる見込みです。
補助金額・補助率については以下のようになっています。
この成長枠では補助率を引き上げることで可能ですが、事業終了時点で以下の要件を満たすことが条件となります。
【補助率引上要件】
① 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること。
② 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること。
ただし、満たせない場合には差額の返還を行うことになりますのでご注意ください。
成長枠では、「卒業促進枠」または「大規模賃金引上枠」のいずれかと同時に応募が可能となっています。
グリーン成長枠(エントリー)
グリーン成長枠とは、研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を支援します。グリーン成長枠はエントリーとスタンダードと分かれており、ここではエントリーについてご紹介します。
グリーン成長枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に以下の要件が追加されます。
- 【グリーン成長要件】
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合(5%)以上に対する人材育成(年間20時間以上)をあわせて行うこと。
※育成には外部研修又は専門家を招いたOJT研修を受けることが必要となります。 - 【給与総額増加要件】
事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。
また、【付加価値額要件】は年率平均4%以上を目指す必要があります。
グリーン成長戦略「実行計画」14分野については、令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に関し、各分野ごとに「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となります。
14分野については以下の通りが該当します。
※各分野の詳細については、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」資料をご覧ください。
補助金額・補助率については以下の通りです。
グリーン成長枠でも補助率を引き上げることで可能です。事業終了時点で以下の要件を満たすことが条件となります。
【補助率引上要件】
① 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること。
② 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること。
ただし、満たせない場合には差額の返還を行うことになりますのでご注意ください。
グリーン成長枠では、「卒業促進枠」または「大規模賃金引上枠」のいずれかと同時に応募が可能となっています。
またグリーン成長枠では、第1回~第9回の事業再構築補助金において、すでに採択・交付を受けた事業者(※)にも下記の要件を満たすことで再度応募を行うことが出来るようになっています。ただし、過去にグリーン成長枠を採択された事業者(※)は応募はできません。また、支援を受けることができる回数は2回が上限となります。
※採択された事業を辞退した場合を除きます。
- 【別事業要件】
既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること。 - 【能力評価要件】
既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること。
グリーン成長枠(スタンダード)
グリーン成長枠とは、研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を支援します。グリーン成長枠はエントリーとスタンダードと分かれており、ここではスタンダードについてご紹介します。
グリーン成長枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に以下の要件が追加されます。
- 【グリーン成長要件】
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合(10%)以上に対する人材育成(年間20時間以上)をあわせて行うこと。
※育成には外部研修又は専門家を招いたOJT研修を受けることが必要となります。 - 【給与総額増加要件】
事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。
また、【付加価値額要件】は年率平均5%以上を満たす必要があり、【グリーン成長要件】の要件とあわせてエントリーよりも高い要件が求められます。
グリーン成長戦略「実行計画」14分野については、前述のエントリーにてご紹介している通りとなります。
補助金額・補助率については以下の通りです。
グリーン成長枠でも補助率を引き上げることで可能です。事業終了時点で以下の要件を満たすことが条件となります。
【補助率引上要件】
① 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること。
② 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること。
ただし、満たせない場合には差額の返還を行うことになりますのでご注意ください。
グリーン成長枠では、「卒業促進枠」または「大規模賃金引上枠」のいずれかと同時に応募が可能となっています。
またグリーン成長枠では、第1回~第9回の事業再構築補助金において、すでに採択・交付を受けた事業者(※)にも下記の要件を満たすことで再度応募を行うことが出来るようになっています。ただし、過去にグリーン成長枠を採択された事業者(※)は応募はできません。また、支援を受けることができる回数は2回が上限となります。
※採択された事業を辞退した場合を除きます。
- 【別事業要件】
既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること。 - 【能力評価要件】
既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること。
この通り、エントリーとスタンダードは要件、補助金額・補助率と違いがあります。主な点を抜粋したものが下記ものとなります。
卒業促進枠
卒業促進枠とは、成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援をする類型です。【大規模賃金引上促進枠】とは併用して応募することはできません。
卒業促進枠の要件については基本要件から外れます。そして、その支援目的から以下の通りの要件が求められます。
- 【成長枠又はグリーン成長枠】に申請する事業者であること 。
- 【卒業要件】
成長枠又はグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること。
この2つの要件を満たします。【卒業要件】の規模から卒業というのは以下を表します。
- 応募時点で中小企業 → 特定事業者・中堅企業又は大企業に成長
- 応募時点で特定事業者 → 中堅企業又は大企業に成長。
- 応募時点で中堅企業 → 大企業に成長。
このように、応募時点の企業・事業規模から卒業し成長していることが必要となります。
補助金額・補助率については以下のようになっています。
注意点として、卒業促進枠の補助対象経費は【成長枠】又は【グリーン成長枠】の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を両方で対象経費とすることはできません。また、要件達成後の実績報告を提出と確認により、補助金が支払われる仕組みです。
このように、第9回までの事業再構築補助金で実施されていた名前の似ている【卒業枠】とは異なる仕組みとなっています。
【卒業促進枠】は単独での応募ではなく、【成長枠】または【グリーン成長枠】と同時に応募することになる今までとは違う類型となりますので、応募の際にはご注意ください。
大規模賃金引上促進枠
大規模賃金引上促進枠とは、成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援をする類型です。【卒業促進枠】とは併用して応募することはできません。
大規模賃金引上促進枠の要件も【卒業促進枠】と同様に基本要件から外れ、支援目的から以下の通りの要件となります。
- 【成長枠又はグリーン成長枠】に申請する事業者であること 。
- 【賃金引上要件】
成長枠又はグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること。 - 【従業員増員要件】
成長枠又はグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年率平均1.5%以上増員させること。
以上、3つの要件を満たす必要があります。
補助金額・補助率については以下のようになっています。
こちらも注意点として【卒業枠】と同様に、大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は【成長枠】又は【グリーン成長枠】の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を両方で対象経費とすることはできません。また、要件達成後の実績報告を提出と確認により、補助金が支払われる仕組みです。
このように、第9回までの事業再構築補助金で実施されていた名前の似ている【大規模賃金引上枠】とは異なる仕組みです。
【大規模賃金引上促進枠】は単独での応募ではなく、【成長枠】または【グリーン成長枠】と同時に応募することになる今までとは違う類型となりますので、応募の際にはご注意ください。
産業構造転換枠
産業構造転換枠とは、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援する類型です。
産業構造転換枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に、以下の要件のいずれかが該当することとなります。
- 【市場縮小要件】 ※いずれかが該当
①現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態から別の業種・業態に転換すること。
②地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること。
産業構造転換枠での【付加価値額要件】については、年率平均3%以上となります。
上記の要件①については、業界団体が要件を満たすことについて示した場合、その業種・業態を指定業種として指定又は、コロナ後から今後の10年間で市場規模が10%以上縮小することについて、応募時に客観的な統計等で示していただき、事務局の審査で認められた場合にも対象となります。この対象のリストについては随時更新され公表されます。
②については、要件を満たす地域であることについて自治体が資料を作成し、証明する必要があります。こちらも随時リストが更新されます。このように、縮小要件についてはいずれか該当することで応募できますが、応募を行う際にはリストを確認して対象であるか確認、または資料を作成して審査を受ける必要があります。
補助金額・補助率については以下のようになっています。
補助金額についてですが、廃業を伴う場合は廃業費として補助上限額を最大2,000万円の上乗せされます。
また、産業構造転換枠では、第1回~第9回の事業再構築補助金において、すでに採択・交付を受けた事業者(※)にも下記の要件を満たすことで再度応募を行うことが出来るようになっています。ただし、過去にグリーン成長枠を採択された事業者(※)は応募はできません。また、支援を受けることができる回数は2回が上限となります。
※採択された事業を辞退した場合を除きます。
再度応募をされた場合の補助金額は、第10回公募締切時点における1回目採択分の採択額、交付決定額又は確定額のいずれか最も低い金額と第10回公募の産業構造転換枠の補助上限額との差額分を上限となります。
- 【別事業要件】
既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること。 - 【能力評価要件】
既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること。
サプライチェーン強靭化枠
サプライチェーン強靭化枠とは、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中堅・中小企業者等に対する支援する類型です。
産業構造転換枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に、下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 【国内増産要請要件】
取引先から国内での生産(増産)要請があること(事業完了後、具体的な商談が進む予定があるもの) - 【市場拡大要件】
取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること(ただし製造業に限る。) - 【デジタル要件】※ 下記の要件をいずれも満たしていること。
(1) 経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
(2) IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っていること。 - 【事業場内最低賃金要件】
交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。ただし、新規立地の場合は、当該新事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高くなる雇用計画を示すこと。 - 【給与総額増加要件】
事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。 - 【パートナーシップ構築宣言要件】
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、宣言を公表していること。
サプライチェーン強靭化枠での【付加価値額要件】については、年率平均5%以上となります。
【市場拡大要件】については、サプライチェーン強靱化枠の対象業種・業態については、【成長枠】の項目でご説明したリストのうち、製造業に該当するもののみが対象となります。
そして、一番特徴的な点として【事業再構築要件】において「国内回帰」でしか応募が出来ない点です。
「国内回帰」というのは、「海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備すること」をいい、事業再構築指針における「国内回帰の定義要件」(※)を満たす必要があります。
※海外製造等要件・導入設備の先進性要件・新事業売上高10%等要件 の3つ
ですので、事業再構築の類型の「国内回帰」というのはサプライチェーン強靭化枠の応募で使える類型であり、他の類型(新分野展開、事業転換、業種転換)ではサプライチェーン強靭化枠は応募できず、また反対に他の応募では「国内回帰」で応募することができません。サプライチェーン強靭化枠では必ず「国内回帰」の定義要件を満たしてください。
補助金額・補助率については以下の通りです。
また、サプライチェーン強靭化枠では、第1回~第9回の事業再構築補助金において、すでに採択・交付を受けた事業者(※)にも下記の要件を満たすことで再度応募を行うことが出来るようになっています。ただし、過去にグリーン成長枠を採択された事業者(※)は応募はできません。また、支援を受けることができる回数は2回が上限となります。
※採択された事業を辞退した場合を除きます。
再度応募をされた場合の補助金額は、第10回公募締切時点における1回目採択分の採択額、交付決定額又は確定額のいずれか最も低い金額と第10回公募の産業構造転換枠の補助上限額との差額分を上限となります。
- 【別事業要件】
既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること。 - 【能力評価要件】
既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること。
このサプライチェーン強靭化枠では国内に製造拠点を整備することになりますが、これによる海外の拠点を閉じるという要件は求めていないので、海外での製造等を続けつつ、国内へ製造等の主力を移すといった動きは可能となっています。
最低賃金枠
最低賃金枠とは、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する類型です。
最低賃金枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に、以下の要件を満たす必要があります。
- 【売上高等減少要件】
2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019~2021年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していることでも可。) - 【最低賃金要件】
2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること。
最低賃金枠での【付加価値額要件】については、年率平均3%以上となります。
なお、最低賃金枠では事業再構築指針の要件について主要な設備の変更を求めない方針です。また、加点措置を行い、物価高騰対策・回復再生応援枠に比べて採択率において優遇されます。これにより応募の申請しやすい類型となります。
補助金額・補助率については以下の通りです。
物価高騰対策・回復再生応援枠
物価高騰対策・回復再生応援枠とは、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援する類型です。こちらは、第9回までにあった、【回復・再生応援枠】と【緊急対策枠】を統合したものとなります。
物価高騰対策・回復再生応援枠の要件として、【事業再構築要件】【認定支援機関要件】【付加価値額要件】の他に以下の要件の(a)又は(b)のいずれかを満たすこととなります。
- 【売上高等減少要件】
2022 年 1 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して 10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して 15%以上減少していることでも可。) - 【再生要件】
再生事業者であること。
Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者。
又は、
Ⅱ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者。
物価高騰対策・回復再生応援枠の【付加価値額要件】については、年率平均3%以上となります。
補助金額・補助率については以下のようになっています。
ここまでご紹介した事業類型が、第10回より申請の枠である事業類型となります。
経費対象について
経費対象については以下の通りとなっています。
※本表では、各経費における注釈・詳細は省略しております。詳細は公募要領をご覧ください。
事前着手申請の手続き
事業再構築補助金は一部の事業類型において事前着手申請が可能です。【最低賃金枠】【物価高騰対策・回復再生応援枠】に申請する事業者については、早期の事業再構築を図っていただくために必要となる経費について、補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合は、令和4年12月2日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることができます。令和4年12月1日以前のものについては補助対象経費外となりますので、ご注意ください。 また、事前着手申請が認められたとしても採択に影響は及ぼしません。
- 受付期間 令和5年3月30日(木)~交付決定日まで
- 提出方法 応募される方は、本事業の申請とは別に、事前着手のための申請を事務局にjGrantsよりご提 出ください。
事前着手申請用URL:https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W2x000007CkxHEAS - 【お問合せ先】 <事業再構築補助金事務局 コールセンター>までご連絡ください。
まとめ
事業再構築補助金第10回の公募が公表され、多くの方が気になる事業類型は創設や変更が加えられ大きく変化しています。他にも細かな変更も行われていますので、これから応募を考えていた事業者様も一度その内容を確認をしてみることをお奨めいたします。フィールドマネジメントでも申請のご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
最後に、すべての事業類型の一覧を掲載しておきます。
本記事は、第10回公募要領ならびに事業再構築補助金の概要第10.0版を元に作成しています。