産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)がスタート!
令和5年4月1日より、産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)がスタートしました。この支援コースは、新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新たな事業への進出等の事業再構築を行うため、当該事業再構築に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するものです。
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)については前回の記事で創設予定であるとご紹介しましたが、正式スタートにあたり、その概要がより詳しく公開されましたのでご紹介いたします。
目次
産業雇用安定助成金 事業再構築支援コース
新型コロナウイルス感染症の影響により事業の一時縮小を余儀なくされ、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会に対応するために新分野展開・業態転換・事業・業種転換、事業再編などの事業再構築を人材育成・確保の面から効果的に促すために、当該の事業主に雇用される労働者の雇用安定と事業再構築に必要な人材(コア人材)の円滑な受け入れを支援するためのコースとなります。
対象事業主について
事業主の方がこの支援コースを受けるためには、下記の通りの条件をすべて満たす必要となります。
- 令和5年4月1日以降に中小企業庁の実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること。
- 対象労働者の雇入れにあたって、次の(a)~(c)までの全ての条件を満たすこと。
(a)雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
(b)期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇い入れること。
(c)「事業再構築補助金」の補助事業実施期間の初日から当該期間の末日までに雇い入れること。 - 対象労働者に対して1年間(助成対象期間)に350万円以上の賃金を支払っていること。ただし、助成金の支給については、支払われた賃金が175万円以上の支給対象期に限る。
- 雇入れ日前6か月から本助成金の支給申請までの期間(以下「基準期間」という)に雇用する労働者を解雇等していないこと。
- 基準期間に倒産や解雇など特定受給資格者となる離職理由の被保険者数が対象労働者の雇入れ日における被保険者数の6%を超えていない(特定受給資格者となる離職理由の被保険者が3人以下の場合を除く)こと
- 支給申請日の前日以前に、過去に本助成金の支給決定の対象となった労働者を解雇していないこと。
- 「受給に必要な書類」について、
(a)整備し
(b)受給のための手続きに当たって労働局等に提出するとともに
(c)保管して労働局等から提出を求められた場合はそれに応じて速やかに提出すること。
なお、「受給に必要な書類」とは、雇い入れの対象となった労働者の、出勤の状況、賃金等を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等)等です。 - 労働局等の実地調査を受け入れること。
主要となる点としましては赤字で示しましたが、まず令和5年4月1日以降の事業再構築補助金の交付決定を受けることが必要となります。これは、現在公募が開始された事業再構築補助金第10回が該当します。さらに、第10回公募要領の「物価高騰対策・回復再生応援枠」と「最低賃金枠」による応募であり、事業計画に記載する「実施体制」の中に人材確保に関する事項を記載した場合が該当することとなります。
これより以前で交付決定された事業再構築補助金については、この支援コースの対象にならないとのことです。
次に、対象労働者の雇用にあたっての条件があることです。(a)(b)の条件から、期間の定めがない労働契約であり一般雇用保険の加入者であるという点から、正社員や無期契約社員等であることが示唆されています。その条件を満たす対象者が、(c)である補助事業実施期間初日から終了末日までに雇用する必要があることとなります。
そして、基準期間と呼ばれるに期間についてです。事業再構築補助金の交付が決定してから事業期間内に雇用を行うことになりますが、対象労働者の雇入れ日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの期間を基準期間といい、この期間に対象雇用者を解雇していないことが求められます。(詳しくは後述の図を参照)
他、賃金の支払い額について1年間(助成対象期間)に350万円以上であることが必要です。また、助成金の支給については、支払われた賃金が175万円以上の支給対象期(雇入れ日(または雇入れ後の賃金締切日)から起算して6か月毎に区切られた期間)に限ります。
対象労働者について
事業再構築支援コースの対象事業主についてはご説明しましたが、その際に対象労働者と呼ばれる雇入れる人材についても条件が発生します。
こちらについては以下の通りとなります。
- 次の(a)または(b)のいずれかに該当する者
(a)専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者。
(b)部下を指揮や監督する業務に従事する者であって、係長相当職(名称の如何にかかわらず、その者の部下として1階職以上の従業員を有するものをいう)以上の者。 - ②1年間に350万円以上の賃金が支払われる者。
上記の1.に該当する条件ですが、こちらの専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者の証明については、産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)のご案内資料より、このように回答が行われています。
対象労働者雇用状況等申立書(様式第2号)に、当該労働者の従事する業務の内容を記載するとともに、業務内容、部署が明らかにされた事業主の組織図等の写しを提出してください。
このように、提出書類が必要となります。
2.についての賃金ですが、これは時間外労働と休日手当を含まない、毎月きまって支払われる基本給を含む諸手当のみで算出される賃金となります。
助成金額について
助成金額については、以下の通りです。
助成金については、1事業主につき、5人までの支給に限られます。
支給方法については、それぞれの支給申請期間に申請を行うことで支給が行われるため、2期にわたり支給されます。
受給までの流れについて
助成金の受給については、以下の通り、事業再構築補助金の応募手続き、対象者の雇用、助成金の申請手続きとなります。
事業再構築補助金の応募申請については、事業再構築補助金公式サイトをご確認ください。また、当サイトでも第10回事業再構築補助金についてご紹介しております。
通常、交付決定後に対象者の雇入れとなりますが、事業再構築補助金の応募申請において、事前着手の承認を得られた場合は事業再構築補助金の応募書類を提出した翌日以降から雇入れが対象となります。また、事業再構築補助金の計画変更に伴い、人材確保に関する記載を行い承認を得た場合にも、承認日の翌日以降から対象となります。
助成金申請については、6か月毎に行う必要があります。支給対象期の末日の翌日から2か月以内に申請書を作成し、支給対象期ごとに都道府県労働局またはハローワークへ提出してください。調査により適正と判断されることで支給が行われます。
おおまかな流れは図のようになっています。
不支給について
産業雇用安定助成金(事業再構築コース)ですが、不支給要件も定められています。
- 雇入れ日の前日から過去3年間に、事業主と雇用、請負、委任、出向、派遣の関係にあった対象労働者を雇い入れる場合
- 雇入れ日の前日から過去1年間に、対象労働者と雇用、請負、委任、出向、派遣の関係にあった事業主と資本的・経済的・組織的関連性等からみて独立性が認められない事業主が、対象労働者を雇い入れる場合
- 対象労働者が、事業主または取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族や姻族)である場合
- 支給対象期の対象労働者の賃金が、支払期日までに支払われていない場合
- 平成31年3月31日以前に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定または支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日または支給決定取消日から3年を経過していない
- 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定または支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日または支給決定取消日から5年を経過していない
- 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給に関与した役員等がいる
- 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度で労働保険料の滞納がある
- 支給申請日の前日から起算して過去1年において、労働関係法令違反で送検処分を受けている
- 風俗営業等関係事業主である
- 事業主または事業主の役員等が暴力団に関係している
- 事業主等または事業主等の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体等に属している
- 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している
- 本助成金について不正受給を理由に支給決定を取り消された場合、労働局が事業主名等を公表することに承諾していない
- 役員等の氏名、役職、性別、生年月日が記載されている別紙「役員等一覧」または同内容の記載がある書類を添付していない
- 「雇用関係助成金支給要領」に従うことに承諾していない
- 支給申請書等に事実と異なる記載または証明(軽微な誤り(都道府県労働局長が認めた場合に限ります。)は除きます。)を行った場合
他にも注意すべき点もあり、すでに助成金を受けている場合には、支給対象にならない場合があることや、国、地方公共団体、行政執行法人などの場合、支給対象にならない場合がある等、助成金をお考えの場合は上記要件に該当していないか「不支給要件」もしっかり確かめることをお奨めします。
まとめ
産業雇用安定助成金(事業再構築コース)は、本助成金が第10回事業再構築補助金の事業類型の「物価高騰対策・回復再生応援枠」「最低賃金枠」が対象ではありますが、人材雇用・育成面に関わる事業主の資金面をサポートしてくれます。第10回事業再構築補助金に応募申請をお考えの方で、人材確保を計画されている事業主の方は、こちらの申請も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
事業再構築補助金について、フィールドマネジメントでは該当補助金申請についてご相談を受け付けております。お気軽にご相談ください。
本記事は、厚生労働省・産業雇用安定助成金(事業再構築コース)サイトおよび配布資料を元に作成しています。