【事業再構築補助金 採択結果】第10回公募の採択結果が公開されました。
令和5年9月22日金曜日、「事業再構築補助金」の公式サイトにて、第10回事業再構築補助金公募の採択結果が公開されました。
目次
第10回公募 採択結果
「事業再構築補助金について、申請受付締切りである令和5年6月30日までに10,821者の応募がありました。
厳正な審査を行った結果、5,205者を補助金交付候補者として採択いたしましたのでお知らせします。
(注:上記者数につきまして、複数の事業者で連携している申請を構成員数に関わらず1者としてカウントしています。)」引用元:事業再構築補助金公式サイト
第10回の応募件数は10,821件、採択件数は5,205件となります。第10回より申請枠が変更となっており、それぞれ、成長枠、グリーン成長枠、産業構造転換枠、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、サプライチェーン強靭化枠となります。
※卒業促進枠および大規模賃金引上枠もありますが、これらは上乗せ支援であり単独の応募が出来ないため、数に含まれておりません。
それぞれの応募件数、採択数については以下の通りです。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
成長枠 | 2,734件 | 1,242件 | 45.43% |
グリーン成長枠 | 631件 | 262件 | 41.52% |
産業構造転換枠 | 275件 | 102件 | 37.09% |
最低賃金枠 | 249件 | 133件 | 53.41% |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 6,775件 | 3,387件 | 49.99% |
サプライチェーン強靭化枠 | 157件 | 79件 | 50.32% |
合計 | 10,821件 | 5,205件 | 48.10% |
全体の動きは、以下の通りとなります。
応募件数 | 採択数 | 採択率 | |
---|---|---|---|
第10回 | 10,821件 | 5,205件 | 48.10% |
第9回 | 9,369件 | 4,259件 | 45.46% |
第8回 | 12.591件 | 6,456件 | 51.27% |
第7回 | 15,132件 | 7,745件 | 51.18% |
第6回 | 15,340件 | 7,669件 | 49.99% |
第5回 | 21,035件 | 9,707件 | 46.15% |
第4回 | 19,673件 | 8,810件 | 44.78% |
第3回 | 20,307件 | 9,021件 | 44.42% |
第2回 | 20,800件 | 9,336件 | 44.88% |
第1回 | 22,231件 | 8,016件 | 36.06% |

事業再構築補助金第10回は、これまで行われていた通常枠の終了や大規模賃金引上枠が追加申請の上乗せ支援化、緊急対策枠と回復・再生応援枠が統合される等といった、その中身が大きく動いた公募回です。特に応募者の多かった通常枠が終了ということで応募件数に影響があるかと思われましたが、応募件数は再び1万件を超えることとなり、採択率は48.10%と前回より採択率が上がる結果となりました。
各申請枠については、以下の通りとなります。
※過去同様の類型があるものについてはグラフによる推移を作製しております。
成長枠
第10回より新しく成長枠が創設されました。
成長枠とは、成長分野への大胆な事業再構築へ取り組む中小企業等を支援する類型です。【市場拡大要件】という、取り組む事業が過去~今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることが要件として追加され、これらは成長枠対象業種・業態リストにより公開されています。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
成長枠 | 2,734件 | 1,242件 | 45.43% |
成長枠は今回初めての結果であり、採択率が45.43%となりました。
補助金額や補助率など支援の内容についてはこれまでの通常枠に近い形でとられていますが、応募には取り組む事業に指定が入ることとなり、通常枠に比べ申請に一定のハードルが課されました。それでも3,000件に近い応募があり、今後もどのような動きとなるか注目です。
グリーン成長枠
グリーン成長枠は研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を支援します類型です。エントリーとスタンダードの2種類ありますが、採択結果では合計での表示となります。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
グリーン成長枠 | 631件 | 262件 | 41.52% |

グリーン成長枠は第6回より継続して行われていました。応募も縮小傾向でしたが第10回では応募件数が大きく伸びました。そして、採択率は41.52%となり本類型の推移では最も高い採択率となりました。グリーン成長枠は2種類に区分されることとなりましたが、採択率は40%前後で推移し安定した動きとなっています。
産業構造転換枠
産業構造転換枠とは、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援する類型です。【市場縮小要件】という主たる事業が著しく縮小にあることが要件であり、こちらは産業構造転換対象業種・業態リストが公開されています。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
産業構造転換枠 | 275件 | 102件 | 37.09% |
こちらも成長枠同様、今回が初めての申請となります。採択率は37.09%と第10回の類型においては最も低い採択率となりました。
最低賃金枠
最低賃金枠とは、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する類型です。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
最低賃金枠 | 249件 | 133件 | 53.41% |

第10回での採択率は53.41%となりました。そして、応募件数が第6回以来の200人を超える応募となり大きく増加する結果となりました。
事業再構築指針の要件について主要な設備の変更を求めない方針であり、また採択が優遇される類型であるため比較的高い採択率となりやすい類型ですが、第10回は前回より10.74の減少であり、これまでも応募数の増減関わりなく減少傾向にあることから、回を重ねる毎に採択が厳しくなっていることが伺えます。
この最低賃金枠ですが、10月より最低賃金の引上げがあるため要件の見直しが行われています。
「2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること」へと要件が見直され、現在公募中の第11回より適用されています。
物価高騰対策・回復再生応援枠
物価高騰対策・回復再生応援枠とは、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援する類型です。こちらは、第9回までにあった【回復・再生応援枠】と【緊急対策枠】を統合したものとなります。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 6,775件 | 3,387件 | 49.99% |
第10回において、一番応募が多い類型となりました。採択率は49.99%であり、事業再構築補助金の類型では比較的高い採択率という結果となりました。今後も集中する可能性が高く今後の動きが気になる類型です。
サプライチェーン強靭化枠
サプライチェーン強靭化枠とは、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中堅・中小企業者等に対する支援する類型です。
類型名 | 応募件数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
サプライチェーン強靭化枠 | 157件 | 79件 | 50.32% |
こちらも今回が初めての申請となります。採択率は50.32%となりました。
補助金額は最大5億円と非常に大きく魅力的な類型である反面、要件も厳しいのですが結果として50%を超える採択率となり、サプライチェーンについて支援する動きは
しかしながら、第11回の公募ではこのサプライチェーン強靭化枠については公募を行っておりませんので、ご注意ください。
業種別応募
公式サイトの採択結果より第9回の概要から、業種別では以下の通りの発表です。


製造業、宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業による応募や採択の割合が高い結果です。他の業種についても大きな動きもなく、全体として幅広い申請が行われています。
応募金額別件数
応募における金額別件数では、以下の通りとなります。

第9回の応募金額別件数はこのようになっています。

金額別では今までと同じく2,000万円までの応募が多くなっています。しかし、類型の変化により過去回と比べ1,000万円が大きく増加する動きとなりました。応募が多かった物価高騰対策・回復再生応援枠の上限にもあたるため、金額から見た場合でも該当の類型に集まったことが伺えます。
認定経営支援機関別 応募状況
※青軸9,358件 赤軸4,254件となり以下の注釈が適用されています。
(注1 :連携体で認定支援機関要件免除事業者を除いています)
(注2 :本資料では複数の企業で連携している申請を構成員数に関わらず1件としてカウントしています)
認定経営支援機関別での応募状況についてはこちらになります。
金融機関での応募が多く、税理士関係(税理士・税理士法人)、商工会関係(商工会・商工会議所)、民間コンサルティング会社を通じての応募が多くなっています。第10回の支援機関別採択率について、金融機関での採択率は比較的安定した採択率です。また、中小企業診断士も49.4%、民間コンサルティング会社48.9%も全体では上位の採択率を出しています。公開されているこれらのグラフは今後の事業者による認定経営支援機関への相談への参考になると思います。
これら詳細な概要は、公式サイトの採択結果にて公開しております。
第10回採択者に向けたオンライン説明会あります
第10回の採択を受けた方にむけたオンライン説明会が実施されます。交付申請にはオンライン説明会への参加が必須となっているため、採択され交付候補者となられた事業者は必ず受けていただく必要があります。
また、説明会では試問が行われます。こちらにお答えいただき承認を受け、事業者登録フォームへの登録を行わないと補助金の交付申請が行えません。回答に不備がある場合などについては再度の説明会参加が必要となります。ご注意ください。
第10回採択者に向けたオンライン説明会は2023年9月25日(月)以降、複数回スケジュールが組まれています。実施終了間際となるとアクセスが集中しますので、余裕を持った日程での参加をお願いいたします。
詳しくは、事業再構築補助金の公式サイトより、オンライン説明会のページをご覧ください。
第11回事業再構築補助金 公募開始しています。
第11回は現在公募を開始しています。応募期限は10/6(金)18:00までとなっています。
当初の予定通りであれば、本年度の事業再構築補助金は残り1回の公募となります。今後の事業再構築補助金がどのような動きをみせるのかは定かでありませんが、第12回の公募は非常に採択の厳しい回になることが予想されます。第12回に申請をお考えての事業者様は、お早めに認定支援機関へのご相談をお奨めいたします。
事業再構築補助金の申請は電子申請となるため、期限間近となるとシステムに遅延が発生し申請ができない場合があります。申請をお考えの事業者は早めの手続きとなるよう認定支援機関との連携をお願いいたします。
弊社が担当し、事業再構築補助金の採択となった事例をご紹介しております。