未知の市場への挑戦と世界を見据えた新規事業。人工芝の無公害充填材製造の内製化により目指すものとは。
株式会社RISE CORPORATION
イタリアメーカーとの独占販売権を取得し新世代人工芝「イタルグリーンターフ」の人工芝輸入卸販売及び施工を行っている株式会社RISE Corporation。国内のスポーツ施設をはじめ公共事業への人工芝販売・施工において数々の実績をあげている。
今までの卸販売及び施工に加え「人工芝天然素材充填材製造販売」並びに「農業用軽量土ココピート製造販売」といった製造業としての会社運営がスタートすることとなった。
フィールドマネジメントは、認定経営革新等支援機関としてRISE Corporationの事業再構築補助金の採択支援を行った。本補助金を活用し機械を導入することとなったその経緯や今後の展望について、葛原妥行社長にお話を伺った。

(画像中央)株式会社RISE CORPORATION 専務取締役 葛原美佐様
(画像右)株式会社フィールドマネジメント 榎
拡がりを見せる天然素材充填材の製造拠点を日本に置くことでアジア圏をカバーしたい。

RISE様はどのような事業を行われていますでしょうか?
葛原社長(以下葛原):弊社では2011年よりイタルグリーン社との契約成立以降、日本における総代理店としてイタルグリーン社が手がける新世代人工芝の輸入卸販売及び施工管理を行っています。その他、この度新たに着手した人工芝用天然素材充填材の製造販売、そして農業用軽量土ココビートの製造販売を手がけています。
新たなビジネスに挑戦、決意された経緯を教えてください。
榎:事業再構築補助金の申請にはフィールドマネジメントが担当させて頂きましたが、本当に重なったという感じで活用できて良かったと思います。
新規設備導入を含め新たなビジネスの準備段階で苦労した点はありますでしょうか?
葛原:製造の機械を導入するタイミングでコロナにより輸入が困難になったことです。そこで、日本ですべての機械の構築を行うやり方を探っていきました。改めて日本で機械設計から製造のメーカーを探すのですから、多くの時間を費やすこととなりました。結果的にではありますが、すべて日本で構築できたこと自体は良かったと思います。
「事業取り組みに深くご理解いただき、親切にアドバイスしてくれました」

フィールドマネジメントについてお聞かせください。どのような理由でフィールドマネジメントを選ばれたのでしょうか?
葛原:金融機関の方からご紹介いただきました。専門家(認定経営革新等支援機関)に依頼をしないとできないとのことで、製造業に理解と実績のある専門家が望ましいといった我々のニーズと合うような会社を探していた中で、たまたまといった形ですがフィールドマネジメントさんに依頼することになりました。
フィールドマネジメントと取り組む中でよかった点、印象に残っていることについて教えていただけますか?
葛原:事業取り組みに深くご理解いただき、全くわからない我々にすごく親切にアドバイスをしていただきました。
不安な点についても時間をとってサポートしていただいたことが印象に残っています。
本当にスムーズに事が進み、不思議なくらい早く結果が出たのがとても助かりました。
榎:ありがとうございます。ご期待に添えてうれしく思います。
対応したサポート例として、RISE様の事業計画が事業再構築において「業態転換」と「業種転換」のどちらの類型に相応しいのか判断が難しいことがあり、これは補助金事務局へ相談し類型の確認をとることで対応しました。
それにより本事業は「業種転換」としての計画書作成を進めさせていただきました。
未知の市場への参入と、無公害充填材拡大における協力・賛同企業の必要性

導入後の動きについてですが、ビジネスの変化や課題を教えてください。また、どのようなお客様に提供していこうとお考えですか?
葛原:今、マーケットがゴムチップに依存しているのでなかなか大手メーカーも手放さないです。
欧米では法律で規制されていることもありゴムチップが徐々に使えなくなってきているのですが、なぜか日本だけは規制がされていません。
行政が一度規制を行う動きがありましたが反発があり、結局のところ規制がなされていない現状です。
しかし、例えばサッカー業界などは世界に出ていくことも考えていますから、世界と同様な環境を使っていきたい、マイクロプラスチック問題をはじめ人体への危険性があるものを外していこうという風潮があり、人工芝を使う業界では同様の動きが強くなってきています。
一般ユーザーの方もゴムチップの危険性を調べられるようになり、こうした背景より大手メーカーも弊社の充填材に関心を持って下さり徐々にですがアプローチをいただくといった変化が見て取れます。
――消費者、一般ユーザーの方の感度が高くなってきていることで、メーカーに左右されず商品の良さで注目されるというのは良い流れですね。
葛原:そうですね。しかし、一般企業の場合は窓口の方が理解していただければよいのですが公共事業の場合は特に金額の面の問題も考えなければなりません。
弊社の商品なんですが以前はゴムチップより高く受注に不利でした。今は同等の金額なのですが、これは弊社で充填材を自社で製造することで販売価格を同等の価格にすることが可能となったからです。
このように受注につながりやすくなるよう努力もしています。
――内製化により人工芝だけでなく、農業用のココピートの製造もできるとお伺いしていますが、こちらついてはいかがでしょうか?
葛原:本来は人工芝の充填材を製造する目的で構築したのですが、導入する機械を研究していくうちに仕様の違う農業用の製品も作れるということがわかりました。
そこで新たな市場として農業用のマーケットへの参入を考えました。
未知の市場ではありますが、人工芝のマーケットより大きいマーケットです。
人工芝もですが農業用ココピートである軽量土にしても99%輸入に頼っている現状の中で、コロナにより船便のスケジュールが合わないケースや原料の高騰もあり農業用軽量土が高くなっている傾向があります。
そのようなマーケット事情の中で、我々はその市場に向けて日本で初めて製造して出荷できるという強みを機械の導入により得ることが出来ました。
自ら製造することによって、輸入による影響での価格高騰を見せる現行の農業用ココピートに対して、今の価格に抑えられるメリットが存在し参入チャンスのある市場と判断しました。
――国内製造することによっての他商品と比べてメリットとはなんでしょうか?
葛原:まずは輸入に頼らないので外的要因に左右されず商品の安定供給が可能です。
それに加え製品のクオリティを高めることができます。輸入商品では相当な量を仕入れますし、製造工程や工場が一定ではにためゴミがあるもの、歩留まりの悪いものが混在していることがあります。
これらは見た目では殆どわからないのですが、実際に使用した際に短期間で固さや保水性の変化、培地量低下などの性能低下が見えてきます。
弊社の機械では原料を加工する過程で排除してくれる仕組みを構築していますので歩留まりの良い商品を提供によって質の高い培地を作ることが可能となります。
あとは、先ほどもお話しましたが大事なこととして、価格の安定化も図れます。

――農業用への参入についてはどのような計画があるのでしょうか?
葛原:農業用に関しては、インドに生産工場を持つ企業とタイアップしてそちらのお客様へ販路を広げていくことと、人工芝で取引のある企業が所属するグループ会社に農業部門がありますので、そちらともタイアップによりマーケットへ参入していくというお話をしています。
他にはホームセンターなどにも出荷できるような安価なものが製造できれば行っていきたいと思っています。実は農業用ココというのは2年~3年で全部入れ替えなんです。現在はすべて廃棄処分していますが、我々の設備では機械を追加導入することで廃棄処分せずに新たに農業用ココとして再利用できるようになります。廃棄するココについては処分を行っている企業がありますので、そちらへ我々が無償引き取りのアプローチをかけることで集められます。
何百トン何千トンという量ですので廃棄費用の負担も減りますし、廃棄による環境問題の面でもリサイクルにより改善できます。
そして、このリサイクルの仕組みは我々も農業用に安価での提供がしやすくなるメリットもあります。
さらには人口芝充填材にも再利用することが可能ですので、リサイクルへの取り組みは多くのメリットがあります。
――リサイクルは今の世の中にも非常にマッチしていますね。今の機械構築から改良が必要ではありますが、その環境を整えるのにどのぐらいの年数を考えていらっしゃいますか?
葛原:希望をいえば2~3年以内には実現したいです。
今後、どのような企業を目指していらっしゃいますか?そのための施策について計画されていることはなんでしょうか?
葛原:どうなんだろうね(笑)それなりになっていたらいいかなと。
ただ我々に協力して頂ける、賛同して頂ける企業がやっぱり同じような形で動かないと私のところだけでやっても難しいと思います。
人工芝のマーケットは大手メーカーが多数存在していますがOEMで輸入に頼り切っている状態です。
幸いにもいくつかの大手メーカーよりアプローチも頂いておりますので今後は良い動きが期待できます。
価格面だけで競うと金額の叩き合いになってしまいますが、リサイクルの構築も進めば価格面でも競争力がついてきますし、マーケットの動きを注視して多くの受注へと繋がるようになっていければと思います。
企業としてはSDGsの精神に沿って社内環境のアップグレード、製造時のクリーンエネルギー導入を進めながら商品開発・販売、新たな商材の取り扱いも進めていきたいと思います。
また会社として上場を視野に入れた成長も考えています。マーケットを見たときに、年商何百億とまでいかなくても上場できるチャンスはあるんです。まだはっきりとは言えませんがそこを目指してはいますね。